その儀式で俺の寿命は決まった

カテゴリー「心霊・幽霊」

怖い話じゃないけどちょっと昔の不思議な体験の話をする。

俺が住んでる田舎にはちょっと変わった風習があって、8月1日~5日の内で雨が降っていない日の夜の8時~11時の間に、13歳の子供が一人づつ、神主に付き添われて神社から山の中にあるご神木に御札を納めに行くっていう風習がある。
当然俺が13歳の時にもそれをやった。

自分は8月の後半の生まれだったから、俺の時は中学のクラスメイトが12人、1つ下の学年から8人の計20人が参加してた。

夜中に神社に集められて呼ばれた順に御札を収めに行って、終わったらそのまま親と一緒に帰るっていう段取りだった。

山の中って言ってもほとんど神社の敷地内っていうぐらいの距離だったし、道もしっかり舗装されてたから一人辺り5分程度しかかからないし、とんとん拍子で進んでった。

でも8番目に呼ばれたクラスメイトのAは帰らずに神主に残るように言われた。
そのあと13番目に呼ばれた1つ下のBも残るように言われて、16人目でやっと俺が呼ばれた。

とっとと終わらせて帰りたかったんで呼ばれたらすぐに神主の所に行って御札を渡されて神主に付いて歩いてすぐにご神木までたどり着いたんだけど、俺は御札を納めれずに立ち止まってしまった。
単刀直入に言うといた、一目見て幽霊だと思った。

ご神木の下に髪の長い女性が二人、両方とも巫女服を着てて片方は包帯みたいなモノで両目を隠して、もう片方は木彫りのお面みたいなモノを被っていた。
ご丁寧に両方とも半透明でおでこの左側から突起物(角?)が生えてた。

二人が1度俺の方を見てお互いに顔を見合わせて頷きあったかと思うと、包帯で目隠しをしている方が俺の方に近付いてきた。

神主さんの方を見てもなにも言わず黙ってじっと見守ってるだけだった。
幽霊の方に視線を戻すと幽霊が両手を伸ばして俺の両頬に手を添えてきた。
触られたって感触は無かったけど、触れられてる部分はめっちゃ冷たかった。
ただ、このとき何故か直前まで感じてた幽霊に対する恐怖は無くなった。

「あんしんして、おぼえていて41まで、ありがとう、ごめんね」

幽霊が言った。

声が聞こえた訳でも唇の動きから分かったわけでも無いけど、そう言ったのが分かった。
その直後に幽霊は姿を消した。

神主さんの方を見たら神主さんが頷いてた。
そのまま神主さんが御札を納めるように言ったのでその通りにして神社に戻った。
そのあと俺も帰らずに残るように言われた。

多分AとBも俺と同じものを見たんだと思ってAに話しかけた。

俺:「もしかしてお前も見たの?」
Aは俺の言葉にバッと顔を上げて「・・・うん、怖かった」って言った。

俺:「あーうん、俺も最初は怖かったけど途中からなんか怖く無くなったわ。近付いてきた時よく見たら凄く綺麗な髪だったし」

そうちょっとおちゃらけて返したらAがびっくりしたような顔をして「え、私の時は近づいて来なかったけど・・・」なんて事を言った。

もしかして違うものを見たのか?と思って「お面の巫女と包帯の巫女を見たんじゃないのか?」と聞いたら「私の時はお面の巫女さんだけだった、おでこの左側に角が生えてる巫女さん」と説明してくれた。

なんか変だなと思ってBにも聞こうとしたら神主さんに呼ばれた。
20人全員終わったらしい。

因みに残ってたのは俺とAとBとそれぞれの両親だけだった。
そんで神主さんが俺の両親に「息子さんは巫女様に気に入られました」と言ってから詳しい事を話し始めた。

神主さんの話を要約すると、あの幽霊は土地の守り神みたいなモノで悪いものではない。
その姿から巫女様や鬼神様と呼ばれているらしい。

由来は不明、記録によれば江戸時代の頃には既に守り神として祀られていたらしい。
江戸時代の頃には巫女様は4人いたが現在は2人しかいないらしい。
巫女様は全員何らかの形で目を隠している、理由は不明。

今日の事はこの土地の子供に巫女様に挨拶させる為のモノで、巫女様は挨拶にきた子供を事故などから護ってくれるらしい。

巫女様が姿を現すのは7月後半~8月中盤の間だけ。
何故13歳かは不明、昔からそう定められていたらしい。

時々巫女様の姿を見ることが出来る子供がいる、何故見えるのかは不明。
親兄弟でも見える見えないがあるらしい。(実際に俺の父と兄はみえなかったらしい)
更にはどの巫女様が見えるかも人によって違う。

見える子供の中で巫女様に非常に気に入られる子供が希にいるらしく、巫女様はその子の魂に寄り添う、つまりは守護霊みたいなモノになり、その子が死ぬと巫女様も一緒に成仏するのか寄り添った巫女様は戻っては来ないらしい。

巫女様が寄り添っている限り事故や病気で死ぬことはまず無いし、悪霊等も寄り付かない。
ただし巫女様に寄り添われたモノは短命になる。
俺が聞いた巫女様の言葉の意味は詳しくは分からない、ただ41ってのは恐らく数え歳の事、その歳になったら何か起こる、多分死ぬ。

俺に寄り添った巫女様は居なくなるから残りの巫女様は一人。
巫女様に寄り添われた俺はあまり長期間この土地を離れてはいけないらしい。(一週間程度の旅行とかなら問題ないらしい)

以上が俺が子供の頃に体験した不思議な話。
ただ年末に兄夫婦が帰ってきた時、5歳になる甥っ子が俺の部屋で角の生えた幽霊を見たとか言い出した。
もしかしたらこの子があのお面の巫女様に気に入られたりするのかね・・・。

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