あの腐ったヤツがいつもいる

俺が小学校5年生くらいの頃のマジでビビった体験なんだけど、文にするとあまり怖くない。
けど本当に辛い。

当時俺は安アパートに家族5人で暮らしてた。
まぁ今思い返せば結構貧しい生活だったと思う。

六畳ほどの寝室で雑魚寝する日常で、寝るときも姉と弟と布団の中でモグラの真似とか言いながらじゃれ合って遊んだりしてたんだよ。

当時寝室にはヒモを引くタイプの丸い蛍光灯がついてて、俺たち兄弟が引く引く!!って言うから親はヒモにビニール紐を繋げて子供でも引ける長さに調整してくれてた。

寝る前に電気を消す時のヒモを引くのは争奪戦だったし、取り合って焦って引くもんだからもうガチャガチャガチャ!!って引きまくって親父に叱られた記憶がある。

『1日の締め』って感じがして、自分が引けた日は優越感に浸りながら眠れたもんだった。

んで、ある日姉が修学旅行で日光へ旅立った。
その日、親達は親父の弟が遊びに来てて、隣のリビングで麻雀をしてたと思う。

散々遊んでもらって、20時半くらいにはウトウトしてきちゃって、弟と寝ることになった。

親父の弟さんと離れるのが寂しかったけど、眠気には勝てずに布団敷いて明日の教材をランドセルに詰めてた。

弟が「にぃちゃんヒモ引きたい!!」って言ってきて、こんな良い日の締めは俺だって引きたくて案の定取り合いになった。
俺が紐を奪い取ってガチャガチャガチャ!!って乱暴に引きまくった。

あのタイプの蛍光灯って明→暖→暗みたいな感じで三段階くらいに色変わるじゃん?

んで俺は引きすぎて明→暖→暗→明って感じで一周しちゃったんだよね。
したら窓際の方にパンパンに膨らんだデカイ男が首吊ってプラプラしてたんだよ。

勢い止めれなくてまた暗くなったんだけど、視界には確かに首吊ったデカイ男がいたんだよ。
弟は見てなかったっぽい。

「にぃちゃんズルいよーー!!」

なんてうなだれてた様子だったから。

俺は足元の力が抜けて胃が気持ち悪くなった。
だって有り得ないでしょ?

俺は霊感とか全く無かったし、幽霊っていうものの存在なんて、生活してて意識したことなかった。

呼吸しにくくて本当に動けないのよ。
明かりつけて確認する勇気もないし、動いて”アイツ”が移動してて触れたりしたらどうしようとか頭グルグル回ってた。

とりあえずマジで心の底から大声出した。
あーーーーとかそういうレベルじゃなくて本当に恐怖に支配された時って意味わかんないくらいの奇声出せるんだね。

アイツ見た瞬間から喉もカラカラになってて声とか出しにくかったの覚えてるし。

親父達にも聞こえてないんじゃないかって怖くなった。
弟もビックリして、奇怪な顔で俺のこと見てたと思う。
暗くて分かんなかったけど。

後ろから襖がザッと開いて、酔っぱらい顔の親父達が顔出しに来た。
俺は思わず飛びついて、泣きじゃくったよ。
ケラケラ笑ってる親父と後ろでトントン包丁叩いてる母ちゃん。

ホッと安心して、眠すぎて起きながら夢を見たのかと思ったら玄関のとこに居るんだよそいつ。

首からロープ下げて一時停止→再生みたいなかんじでガクガクしながらすごいユックリ大股で歩いてくんの。

首吊った人間の独特の顔あるだろ?
滅茶苦茶やばいんだよ。

俺は超パニックになって親父突き飛ばして布団に潜り込んで神様に謝りまくった。

なんで皆には見えてないのか、俺が悪いことしたのか、真面目になります弟にも優しくしますって滅茶苦茶祈った。

その夜、いつの間にか寝てたみたいなんだが夢を見たんだよ。
今でも鮮明に覚えてる。

自分の上にあのデカイ男が死んでて、どんどん腐敗してくんだよ。
体液が身体に染み込んできて、ガス?かなんか分からないけどどんどんパンパンに膨らんでく。
死ぬほど重くて身動きとれないんだよ。
しかもアイツの中でうごめく蛆虫がモゴモゴ動くの。

気がついたら朝だったみたいで包まった布団の中で目覚めて、昨晩のこと思い出して心臓バクバクだった。

布団剥いだら何も居なくてめっちゃくちゃホッとした。
もう泣きながら台所の母ちゃんに抱きついた。

母ちゃんが焼いてるウインナーの匂いになんだか心底安心したよ。

今俺は23歳なんだけど、あの日からほぼ毎晩同じような夢見てるんだよね・・・。
目の前には現れないけど本当に辛い。

所詮夢だし変な奴って思われたくなくて誰にも言えないでいる。
もう慣れてきてる自分が怖い。

いつまでアイツと一緒なんだろ・・・。

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