夜の9時頃、電車に乗っていた時、寝こけていたらしくハッとして目が覚めた。
向かい側の網棚の上に、スーツ姿のおっさんが横になっていた。
おいおい、酔っ払いかよ・・・と呆れて周りを伺ったけど、誰も気にしていない。
よく見るとおっさんは白目をむいてた。
酔っ払いにしてもヤバくね?と思ったら、近くにいた女が大音量でキャーッ!!!と叫んだ。
周りがざわついて女を見たけど、すぐに迷惑そうに皆目を逸らして興味を失っていった。
自分も目を逸らしたら、おっさんが視界に入った。
おっさんの目が真っ赤になっていた。
瞳じゃなくて、眼球全体が血みたいに真っ赤。
女がもう一度キャーッ!!!と叫んだ。
今度こそ皆、女を完全に無視した。
おっさんの存在と女の叫び声で、変に心臓がドキドキしていた。
次の駅に停まって、乗り込んで来た人が網棚に荷物を乱暴に置いた。
あっと思った時には、もうおっさんはいなかったし、女は叫ばなくなった。
時々思い出して、夜の電車が嫌になる。