オーナーはずっとそのビルにいる

カテゴリー「心霊・幽霊」

昔働いていたゲームセンターは4階建てのビルの1、2階部分を借りて経営していたのだけれど(3階4階は無人)、社員やバイトの間では幽霊がでるとよく噂されていた。

主に出るのは1階の事務所や男性用スタッフルームがある場所なんだけれど、話によるとビルの亡くなった先代のオーナーらしい。

私が聞いた話では月に1回くらいの頻度で筐体を移動させたり納入したりと男性スタッフが閉店後残って作業する事になっていたのだが、作業が終わって始発までの時間仮眠をとっているとその先代オーナーの声がして揺り起こされたり・・・とまあそんな話だった。

聞こえる声は「風邪ひくよ」とか「お疲れ様」とかなので、悪い意味で出てきてるわけではなさそうだけどやはり気味が悪いと男性スタッフ陣はよくぼやいていたのね。

2階部分は景品倉庫と女性スタッフルームになっていて、UFOキャッチャーの景品補充やカウンターでの仕事が中心の女性スタッフは主にこちらの方の利用が多く、営業中も1階倉庫の景品が無くなったら新しい景品を取りに行ったりと出入りする事があった。

その日も景品在庫が無くなりそうだったので私が2階倉庫に新しい景品を取りに行ったのだけれど、階段をのぼっていると何かいつもと空気が違うような気がして踊り場で立ち止まってしまった。

まあ元々営業中は2階部分の出入りはあまりしないから廊下の電気は倉庫前以外消してあったので、普段から薄気味悪さはあったのだけれど。

でも景品を取りに行かなくてはいけないわけで、不気味さを感じつつも足音を消して階段をのぼり、そっと廊下を覗いてみたら・・・景品倉庫のさらに奥、廊下の突き当たりに人影が見えた。

裏口から入ってきた不審者かもしれないと一瞬思ったのだけれど、なんとも不気味で。
黒髪の女性で、一昔前の様な服を着ていて、後ろ姿のままじっと動く気配が無い。

そのまま後ずさる様に1階に戻り事務所で仕事をしていた店長に「あの・・・何といったら良いのか・・・景品を取りにいきたいんですけど、知らない女性がいて・・・」と報告したら、「ああ、じゃあ1階の景品の中途半端に余ってるやつを袋詰めにして今日はそれで頼む」と言われ、不審者かもしれないのに確認に行こうともしない。

店長のその反応を見て、女性スタッフは深夜残らないから噂になっていないだけで2階も何かでるのか・・・と思った。

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