中学生の頃、誰が言い出したのか、怖い夢を見る方法というのが流行った。
やり方は簡単で紙の真ん中に自分の名前を書いて円で囲み上下左右に鳥居を書いて燃やす。
そうするとその日の夜に怖い夢が見れると言うものだった。
ある日クラスの友人たちと何人かで試してみて誰の夢が一番怖いか決めようという事になった。
放課後に皆で紙を燃やして次の日の昼休みに昨夜見た夢を順に発表していく事になった。
因みに自分が見た夢は4つの鳥居に囲まれて立っていて、左右の鳥居からは笑い声と叫び声が聞こえていて、正面の鳥居からは猫の死体が大量に出てきた。
そして、振り返って後ろの鳥居を見ると、テレビでやっていた怖い話に出てきた幽霊がいた。
幽霊が自分の首に手をかけた所で目が覚めた。
というモノでまず最初に自分が夢の内容を発表した。
しかし自分が発表してる途中、何人かが不思議な顔をしており、話が終わった所で揃って口を開いた。
「俺が見た夢も殆ど同じだ」
そのまま皆から話を聞いてみると、覚えていないという奴と一人を除けば殆ど同じ内容の夢だった。
違う所は正面の鳥居から出てくる死体の種類と後ろの鳥居から出てくるモノの違いだけだった。
しかしもっと妙だったのが違う夢を見たというもう一人の夢だった。
そいつが見た夢は鳥居に囲まれて立っているのは一緒だが、正面の鳥居からは何も出てこず、後ろを振り向くとそこにはひょっとこのお面を付けたスーツ姿の男と、鬼のお面を付けたパンツルックの少女が立っており、スーツ姿の男が拍手しながら「おめでとー!!」というと、左右の鳥居から「オメデトー、オメデトー」と沢山の声が聞こえてきた、というモノだった
その後、もう一回試してみようという話になり、同じことを何回か試してみたが、誰一人として同じ夢は見れなかった。
一体あの夢はなんだったのか未だに分かっていない。