某バラエティー番組の収録での事。
電話ボックスくらいで中が見えない箱にゲストが入り、解答者がゲストに質問しゲストが誰かを当てるコーナーがあった。
ボイスチェンジャーで声だけでは男か女かもわからない。
最初に司会者だけが小窓から覗いて「あ~、この人ね」を毎回やるんだが、その収録の時だけは覗いた後に首を傾げて、台本を何回も見返す様子がカメラに捉えられていた。
解答者が次々に質問をし最終的に某男性俳優がゲストだった。
ボックスから出てきた某俳優は解答者やスタジオ観覧者に拍手で向かえられ、出演する舞台の告知等をやってその回の収録は終わった。
収録はいつも通り順調に終わったはずだが、司会者だけは青白い顔をして怯えていた。
それを気にした彼のマネージャーが司会者に聞いた。
「○○(司会の芸人)さん、どうしたんです?青い顔しちゃって」
「・・・さっき最初に俺が箱を覗いたやろ?その時中に綺麗な女の人がおってん。あれ、おかしいな。今日は△△(男性俳優)さんがゲストやのに、と思うて。でもしゃべってるのも最後に出て来たのも△△さんやったし」
「え!それホントですか?」
「ほんまやで。見たことない顔やったけど、えらい美人さんやった。でもどこ行かはってんやろ?」
「△△さんのマネージャーの方じゃないですか?」
「そやろか」
その後、この件が出演者やスタッフに知れ渡り、ちょっとした騒ぎになった。
ちなみに、△△さんのマネージャーは男性だった。
ではその女性は誰だったのか。
その手掛かりは編集中のスタッフが見つけた。
ゲストの性別がわかった後にヒントとして座っているゲストの手元だけを写す場面があった。
俳優の手やお腹部分が写っているのだが、ゲストの背後に人影が写っていたらしい。
でも、狭いボックスの中にその人影が立っていられるスペースなどない。
それを聞いたマネージャーは司会者を呼び、映像を見せた。
「こ、この人や!最初に見た女や!これは幽霊や!」
司会者はその後気分が悪くなり、その日の収録はそこで中止になった。
後日、自分の出演したコーナーが放送されないため、△△側から番組側にクレームが行った。
しょうがなしに番組側は事な真相をその俳優に伝えた。
するとその俳優は、そうか、と言っただけで、もうクレームを言う事はなかった。
そしてその俳優は今は芸能界を引退しているという。
テレビ業界で働く友人から聞いた実話でした。