もうだいぶ前の話ですが、当時私が大学一年の時、夏休みを利用して前から悪かった腰の椎間板ヘルニアの手術をするために大学病院の整形外科に入院していたときの体験です。
手術が無事に終わって数週間がたったある日の深夜、熟睡できずにうたうたとしていた。
すると病室のドアが静かに開き、人が入ってくる気配がした。
「看護婦さんの巡回の時間かぁ、今日の夜勤は○○さんだったなあ・・・」とかぼんやりと考えていた。
人の気配は奥のほうから巡回しているようで私のところにも来たのだが、カーテンがゆらっと揺れただけで看護婦さんの姿を見ることはできなかった。
それから間もなくして、またドアが開く音がして人が入ってきて順番に巡回して私のところに来た。
今度は懐中電灯を持った看護婦さんの姿を見ることができ、私がまだ起きていることに気付いた看護婦さんが「寝れないの?大丈夫?」と声をかけてくれた。
私はさっきのことを聞こうかとも思ったが、まあいいかと思って「大丈夫です」とだけ答えて寝ることにした。
さっきは誰が入って来たんだろう?
そういえば懐中電灯持ってなかったよな、俺寝ぼけてたのかなあ?とか考えながらも眠りについた。
それから何日か経ったある日、8月のお盆の一週間前くらいだったと思う。
深夜に目が覚めてぼんやりとしていたら、またドアがすっと開き人が入ってくる気配がした。
懐中電灯も持ってないようだし看護婦さんじゃないかもしれないな、誰か確かめて見ようと思い、体を起こした。
そっとカーテンから覗いてみるとぼんやりとした白い人影が目の前をスーと通りすぎて行きドアを開けて出て行った。
確かに看護婦さんだった。
顔はよく見えなかったが感じからして若い看護婦さんだった。
でもなにかぼんやりとしていたし、ドアから出て行くときも不思議な感じだった。
もしかして幽霊・・・?とちょっと怖くなり布団をかぶって寝た。
次の日の昼、歳が近くて話しやすい新人看護婦さんに深夜のことを話してみた。
すると看護婦さんが話をしてくれた。
7月の中旬くらいから看護婦の中にも幽霊を見た人が何人かいるそうで、ナースの間でも噂になっていたそうです。
看護婦の先輩から聞いた話では、去年の秋頃、準夜勤を終えて車で帰っている途中に事故で亡くなった若い看護婦さんがいたそうで、その人がお盆が近づいてきたので帰ってきたのではないかということでした。
なんだかとてもかわいそうな気持ちになり手を合わせて成仏を祈りました。
場所は東京都内の病院とだけ記載しておきます。