俺、実は見えるんだよ

カテゴリー「心霊・幽霊」

私はタクシーの運転手、これはお客さんの話。

そのお客さんは全国の現場を渡り歩く土木関系の方で、ワケありの、俗に言う「タ○部屋」生活十数年と言う方です。
とても気前が良く、半年程の間良くご乗車いただきました。

コースは19時頃から食事に出かけ帰りは深夜2時以降。
その送迎を私がしておりました。
そして常連さんになり始めたある日、いつも通るコースの、あるカーブに差し掛かったところ、「運転手さん、ここ昔何かあった?」と言うのです。

職業柄、地元の事は得意ですが、そこで何かあったなんて聞いたことがありません。
あると言えば峠道なので、そのカーブの前後は事故多発地帯です。
ですが死亡事故に至る重大事故はありませんので、よくある道端に供えてある花なんてのもありません。

その事を伝えると、「んー、でもそれも関係あるかなぁ。」と含みを持たす発言。

客:「俺、実は見えるんだよ」

運:「ハァ?」

客:「俗に言う霊ってヤツが・・・そんなに霊感強く無いけどね・・・」

運:「え・・・そーなんですか・・・(汗)」

客:「前からここを通る度にカーブの内側に白い着物か洋服を着た中年以上の女性がぼんやり立ってるんだよね・・・」

運:「も、もー・・・、カ、カンベンして下さいよ~(苦笑)」

客:「ま、ココ通るときは気をつけた方がいーよ。」

運:「はい・・・」

まだバレてないと思いますが、実は私、超ビビりです。
私自身、全く見たことも感じた事もありません。

ですがそういった類は信じてない訳でもありません。
ですから、特に深夜、空車で乗務中はバックミラーなどは絶対見ません。

プライベートで自家用車なら話は別ですが、深夜にTAXIでバックミラーって、・・・ありがちな話。
私はまだありませんが、あったら嫌ですモンっ!!!

「も~っ!!・・・ココ、夜通られへんやんっ!!!」

心の中で叫びつつ、いつもより安全運転を心がけました。

目的地に向かう間、その方は慣れているせいかご親切???にも色々と楽しそうに体験談を語ってくれました。

金縛りなんて朝飯前、夜中ふと目を覚ますと見知らぬ顔が覗き込んでいたとか、胸の上に乗っていたとか、工事現場に出たなどなど。

中でも印象深かったのは、仕事を終え、明日は休日というある夜、深夜、飯場で仲間と飲んでいたそうです。

途中何度か、尿意で席をはずす事に。
しかしトイレは少し離れた場所。
何事にもアバウトな彼らの事、千鳥足にくわえタバコで飯場裏の、少し下り斜面になった所で用を足したそうです。

そして、くわえていたタバコもついでにその場で「ぺっ」と。
翌朝、騒がしさで目を覚ますとパトカー数台と警官などが見えます。
聞くと裏で死体が見つかったらしい。
当然飯場内にも警察官が目撃者などを聞きに来ます。
遺体発見現場は裏の斜面。

「裏の斜面!?」

そう聞いたお客さんは現場を見に行くことに。

客:「・・・!!!!!」

そこには中年の男性が頭を手前に仰向けに死んでいたそうです。
そしてその姿を見て唖然。

何とその男性の髪の毛がビチョビチョに・・・そしてすぐ脇には
タバコの吸殻が数本・・・
そうなんです。

酔っ払っていて暗かったとは言え、あろうことか遺体顔面に聖水プレイ・・・。

当然悪気はなかったんですが、心が痛みます。
すぐに手を合わせて無礼を謝り、警察にも事情は話したそうです。

その話を聞いて「それも霊感あっての事???」って心で思いながら目的地手前の踏み切りへ差し掛かりました。

客:「言っとくけど運転手さん、この踏み切りのこことそこにいつも決まって同じ人がいるからね。時々違う人もいるけど・・・」

運:「・・・・・・・・・」

そうなんです。

そこは過去数名の方が自殺などで亡くなられております。
その同じ線路の20メートル先にも踏切があり、同じくそこも数名の方が・・・。
ここは私もそう言う話は良く耳にします。

深夜、空車で、そう言う所を通らないのは言うまでもありません。
遠回りしてでも違うコースを通ります。
ですから、このお客さんを自宅に送った帰りは20分程遠回りして帰ります。

はじめに書いた峠のカーブについて、その後分った事で関係は不明ですが、普段は車から見えないカーブの真下に、比較的新しく、まめに掃除がしてありそうなお墓が2つ、その脇にかなり時代が経ったであろう、あまり手入れがされてないお墓が2つあったことを報告して終わります。

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