小学生低学年の頃、家族で動物園に行ったときの話。
その頃、親が忙しくて家族で出かける機会が少なかったから、すごく嬉しかったのを覚えてる。
色々な動物を見て回ってたんだけど、ふと動物から目をそらすと、いつも同じおじさんがいるの。
猿山の向こう側に立ってたり、振り返ったとき父親の後ろ方に立ってたり。
見たい動物のところに行ってたから、ルートに沿ってたわけじゃないのね。
でも見ると、いる。
見た感じは普通にちょっと太ってて眼鏡掛けたおじさんなんだけど、なんか気持ち悪くて。
帰るときまで気になって仕方なかった。
それで、もう夕方だから帰ろうかってなって、車に乗ったの。
ずっと歩き回ってたからか、俺は疲れちゃって、車乗ってすぐに寝ちゃったのね。
で、ふっと目が覚めて。
隣見たら、さっきのおじさんが座ってるの。
怖くなって、助手席に座ってる母親に「お母さん!このおじさん誰!?」みたいなこと言ったのね。
そしたら、母親は振り返って「気持ち悪いこと言わないでよ。誰もいないでしょ」って言うの。
え?ってもう一度隣見たら、母親が言うとおり誰もいなかった。
それからしばらくは、いつも自分の側に、あのおじさんがいるんじゃないかってビクビクしてたよ。