怖くは無いと思いますが不思議だった話をしたいと思います。
それは兄貴の奇妙な行動から3年程たった夏祭りの日に起きました。
あれ以降、兄貴は至って健康で・・・たまに黒いモヤだったり何者かの手や顔だけが兄貴の肩に乗っている・・・と言う事がありますが現在も兄貴は元気に生きています。
話がそれました・・・。
小学校に上がった私自身は”普通の人には見えない者”を見ては泣き、逃げ回っていました。
ある日、祭りがあるからと親と一緒に縁日に出かけました。
その縁日は田舎なので広くもなく、出店が10店舗程しかないものでした。
出店にワクワクしていた私は親と手を繋ぎつつキョロキョロと辺りを見回していました。
ふと、手を振っているお婆さんがいました。
目線はこっちを向いてニコニコ笑っています。
でも誰もそのお婆さんの側に行く人も手を振り返す人もいません。
私はそのまま親に手を引かれそのお婆さんの場所から遠ざかってしまいました。
出店で食べ物やオモチャを買い、その場で食べられる場所に座り花火を待っていました。
その時です。
「ねぇ・・・」
声を掛けられ振り返ると先程のお婆さんがそこにいたのです。
真っ白い着物を着て座っている私に目線を合わせる様にしゃがんでいました。
表情は変わらずニコニコしています。
知らない人に話かけられた・・・。
恐くなりましたが親がすぐ横の席にいるのでそのままお婆さんの方を見ていました。
すると、「ねぇ、何歳になったの?」と、唐突に聞いてきました。
私は「8歳だよ」と言うと「そうかぁ~・・・もうそんなおっきくなったんだ。小百合(仮名)おばさんもそりゃ年取るわなぁ」と言われ、「小百合おばさんって言うの?」と何気なく聞くと「そうだょぉ~。ちっちゃい時に抱っこしてあげたべさ。赤ん坊だったから覚えてないかなぁ?」と、変わらずニコニコしながら話ています。
そんな名前知らないので横にいた母に「小百合おばさんいるよ」と言った所、母は「えっ!?」と一言。
「ここに・・・」と言って振り返ると・・・もうそこには誰もいませんでした。
母の話では、私が産まれてすぐにガンでなくなった小百合おばさんという方がいて、毎日私の話を聞いていたそうです。
自分の子の様に心配して一度だけ母が私を抱いて見せに行ったらニコニコ笑って私を抱いていたそうです。
私は全く覚えておらず、小百合おばさんの存在自体知りませんでした。
母は「気になってしかなかったんだね」と言っていました。
それから小百合おばさんは見ていません。
お目汚し失礼しました。