今日は暇だし母の日ってんで「花でもプレゼントしてやるか!」と気まぐれで近所の花屋に行ってみた。
その花屋は俺が物心ついた頃からあるが入ったことは無い。
店の前に立ってみるとなんか薄汚れてて暗い店だった。
とりあえず周りを見渡して「え~とカーネーション、カーネーションはっと?」と探していると奥からばあさんが出てきた。
腰が90度曲がって顔は皺だらけで目が開いてるかどうかも分からない。
80?いや90歳位かもしれない。
俺:「カーネーション無いんですか?」
聞いてみたが返事は無い。
まあ年寄りだし耳が遠いかもなともう一回大声で「今日は母の日ですからカーネーション欲しいんですけど!」と伝えてみると、「そんなものはここには無い!」と半ギレで怒鳴られた。。
凄いしゃがれた、新聞紙を思いっきりグシャってしたような大声で。
はあ?
いくら年配でも客にそんな態度かよ?
もういいわ、どうせ暇つぶしだし。
「そうですか、じゃあいいです」と、店を出ようとしたら、「他の花でもいいんか?」さっきとは違う妙に通る声で引き止められた。
俺は「まあなんでもいいと言えば良いですけど」と言った途端、そのばあさん「本当か?本当になんでもいいのか?」と念を押してくる。
俺:「俺もよく知らないし、花ならなんでも良いですよ」
するとばあさん、皺だらけの顔を更に皺くちゃにしてニヤリと笑った。
その顔の皺の奥の目が一瞬見えたが、なぜか背筋がゾクリとした。
ばあさん:「ちょっと待っての。用意するから」
そのばあさんは店の奥に引っ込んだ。
しかし、10分位待ったが出てこない。
なにやってんだよ!!?
本当どうでもよくなった俺は「もう帰りますよ!」と、店の戸をピシャリと閉めて、ブツブツ言いながら帰った。
母に花屋の事を話すと「あらおかしいわね、あそこのおばあさん亡くなってしばらく経つはずだけど?」
俺:「いやたった今会ってきたよ」
母:「そう、じゃあ親戚でも来てたのかしら?ハナさんの入るお墓で揉めてたらしいから」
その時、2階の俺の部屋から何か聞こえた気がした。
俺:「今なんか聞こえなかった?」
母:「別になんにも?」
気のせいか?
いやまた聞こえた。
声:「ここでええんかいの」
あのばあさんの声だ・・・。
なんか変なのに憑いてこられたぁ・・・。
翌日、母から「あんたが見たのやっぱり亡くなったおばさんかもね・・・。夜ずっと花をどこに置こうかウロウロしてたの・・・」と。
翌週、ばあさんの親戚とか呼んでお祓いして貰いました。