友人が中学生の頃体験した話。
当時放送部員だった彼ともう一人の部員は、給食時間に校内で流れる「昼の放送」のために放送室にいました。
さて、今日は何を流そうかな~と考えながらテープのラックを漁っていると、見慣れないテープを見つけました。
そのラックには、歴代の放送部員が持ち寄ったテープがたくさん入っていて、童謡、アニソンから演歌、クラシックにいたるまで多くのレパートリーがありました。
大抵のテープにはラベルが貼られていて、何の曲が入っているか分かるのですが、そのテープには何も書かれておらず、友人はそのテープを放送してみる事にしました。
再生すると、それまで一度も聞いたことのない歌が流れ始めました・・・。
その歌自体は歌詞もメロディーも普通で、特におかしな所は無かったそうで・・・二人は普段どおり放送を終えると昼休みの教室に戻りました。
教室に戻った二人の所に放送部の担当でもあった担任の先生がやって来て、「お前ら、あまりふざけたことをするな!」と言われました。
二人が何のことかと尋ねると、「歌の途中で変な声を入れただろ!」と。
先生が言うには、歌の途中で「ううう・・・うううう・・・」と言う感じでうめき声が聞こえてきたと言うのです。
先生は二人がふざけて入れたと考えていたのです。
気になった二人は、放課後先生に頼んで放送室の鍵を借りて、テープを確認してみることに。
先生の話ではうめき声が入っていたと言うのは始まってから一分ぐらいだったとここと。
そして、確かに一分ほど経過した所で、うめき声のようなものが聞こえてきました。
ただし、テープからではなく、部屋の隅から・・・。
二人がそれに気付いた次の瞬間、うめき声が「ぎゃああああああああ」というすさまじい絶叫に変わり、驚愕した二人は放送室を飛び出して家へ逃げ帰ったそうです。
夜になって担任から電話が掛かってきました。
二人が放送室を開けっ放し、鍵も置きっぱなしで帰ったと言うので、相当怒っていたそうです。
友人は事情を説明しましたが、担任は二人が戻ってくるのがあまりにも遅いので心配して見にいった、ラジカセの電源が入ったままだったから消したが中にテープなど無かったと話したそうです。
結局そのテープは二度と見つからず、その正体は全く分からないままだそうです。
以上が友人から聞いた話です。
実話なのか、友人の創作なのか、あるいはどこかで聞いた話しをさも体験談のように話していたのかは分かりません。
ですが、「あのうめき声と絶叫が、今でもたまに夢に出てきてうなされる・・・」と話していた友人の姿が今でも印象に残っています。