特殊な実験中に起きた事件

AV仕様の最強媚薬・エロティカセブン

媚薬・エロティカセブン

中島らも原作『こどもの一生』

1990年初演のお芝居で何度か再演されているが、2012年版だけが後味悪い。

こどもの一生[DVD]瀬戸内海に浮かぶ、携帯電話も通じない孤島が舞台その島には、医者と看護師が一人ずつだけいる診療施設がある。
その島に集まったのは、日常生活でストレスを抱え心身に影響が出ている女ニ人と男一人の患者。(公演により職業は異なる)

三人に加え、不祥事から逃れるために島に逃げこみ、患者のふりをする横柄な大企業の社長。
そして社長の言いなりで気の弱い秘書の男。
この島で行われている『画期的な治療法』とは・・・。

暗示にかかりやすくなる薬と催眠術によって患者を子供と思い込ませ、自由に行動させることにより、ストレスから立ち直らせようとする心理療法。
処置を受け、患者三人と社長、秘書は全員子供のように行動し始める。

はじめは「子供なんだからこうするだろ」のような発言も見られるが、次第に自分が大人だったということも忘れていく患者たち。
その中でも、社長は、秘書の昼食を奪うなどガキ大将のように横暴なふるまいをし、やがて女性患者を叩くなど暴力的な行動を起こし始める。

そしてそんな社長の腰ぎんちゃくになる秘書。
それに嫌気がさした他の患者たちは、ある仕返しを思いつく。(発案者は男の患者)

社長以外の全員で示し合せ、自分たちだけが分かる共通の話題で盛り上がって社長を仲間外れにしよう、という計画だった。

秘書を引き入れる事にも成功し、その日の夜、夕食の時間に、社長以外全員が『山田のおじさん』という人と知り合いだった、という話題で盛り上がる。

計画通り、社長はいじけてしまう。
患者たちはしてやったりと喜んでいたが、その後奇妙な現象が起こる。

『山田』と名乗る男が突然診療所を訪ねてきたのだ。

看護師、医者がいない中で対面した山田は、髪形、口癖といった特徴が全て考えた設定と同じ。
予想外の出来事におびえ、本当に自分たちの考えた山田のおじさんが具現化したのかを調べようと、設定を考えたときのメモを取り出すと、患者たちの知らない書き足しがあった。

『山田のおじさんは、一見ただの変なおじさんだが、狂っている。山田のおじさんは、出会った人みんな殺すのだ』

いじけて部屋を飛び出した社長がその後メモに気付き、怒って書き足したものだった。
患者たちが書き足しに気付いた直後、看護師の悲鳴が。

社長が風呂で溺れ、意識不明だという。
山田のおじさんはおかしい!社長も山田のおじさんが溺れさせたんだ!と医者に主張するが、医者は取り合ってくれない。

秘書はふと思い出し、島に来た直後に看護師から出された心理テストを山田のおじさんに聞く。

「あなたがマンションのベランダに出ると、向かいのマンションで残虐な殺人が行われていた。殺人犯はこちらに気付くと、こちらを指差して何かを言っている。さて、何を言っている?」

それに山田のおじさんは答える。

「あ、答え二つも思いついちゃったよ。一つは、犯人は目撃者がいる階を指差して数えている。もう一つは、目撃者に対し『楽しいよ、一緒にやろうよ』と誘っている」

山田のおじさんの異常性を確信し、自分たちだけで逃げ出す患者たち。
すると突然山田のおじさんはチェーンソーを持って現れ、看護師、医者を惨殺する。
さらにメモを処分しようとした男性患者も逃げ遅れてしまう。

本来は立ち入りを禁止されていた洞窟に逃げ込む秘書と女性患者ニ人。

「私たちが大人だったらよかったのに。そしたら山田のおじさんなんかこわくないのに」という女性患者の発言で、ふと自分が子供だということに違和感を持つ秘書。

更に、洞窟の中に一面に生えているキノコが食事に出されていたものと同じであることに気付いた秘書は、ついに自分が大人であることを思い出す。

これをきっかけに、自分たちの催眠を維持するために幻覚作用のあるキノコを食べさせられていたこと、山田のおじさんはその幻覚作用によって現れた幻覚であること、自分は社長に食事を奪われていたため幻覚キノコの摂取量が少なく、目覚めるのがはやかったこと、に気付く。

それを自分に言い聞かせることで、山田のおじさんは消滅し、全員が大人に戻る事が出来た・・・。

中島らもさんの原作および過去の公演はここで終わりらしい。
だが、2012年版ではこの後に後味の悪い続きがある。

山田のおじさんが消滅した後、洞窟を出る患者ニ人と秘書。
外には、医者と男性患者が待っていた。

「無事だったんですか。社長は?」という秘書の問いかけに医者は苦々しげに答える。

「何を言ってるんですか。あなたたちが溺れさせたんでしょう」

山田のおじさんが起こしたと思っていた行動は、全て患者と秘書がやっていたらしい。

『楽しいよ、一緒にやろうよ』という言葉も、社長の頭を浴槽に押し込んでいる患者たちを医者が止めた際に、患者たちが医者に対して言った言葉だったという。

愕然とする秘書の耳にヘリの音が聞こえてくる。

警察を緊急無線で呼んだらしい。

「さあ、行きましょう。特殊な実験中に起きた事件だ、情状酌量の余地はある。もちろん私にも責任がある。大人として、ね」

医者の発言に促され、よろよろと歩いていく患者たち。

その姿を見ながら、看護師が医者に聞く。

「それで通りますかね?」

「通るさ。山田のおじさんなんていなかった。みんなそう思いたいだろう。じゃ、あとは頼んだよ」

看護師は「勿体無いけど親株あるし・・・」とつぶやきながら、洞窟の中のキノコに油をまき、火をつけ焼き払うのだった。

観たのは2012年版だけだったのだが、元の話を知った時にどういう意図でこの付けたしをしたのかなあ、と思った。

最後の場面以外にも、医者と看護師が何か巨大な後ろ盾(「上からの指示」というセリフとか)を持ってるらしい描写があり、何者なんだこいつら・・・という感覚が鑑賞後にある。

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