山仲間の話。
地元の里山を歩いていると、登山者の遺体を見つけてしまった。
慌てて通報し、警察へと引き渡した。
後日「奇妙な点がある」と言って、警察が再び彼の元を訪れた。
件の登山者の死因だが、どうも滑落による墜落死であると判断されたのだという。
しかし遺体が見つかった所は、だだっ広くてなだらかな野原だった。
近くに滑り落ちてくるような高所など見当たらない。
どうやら彼は「死因に何かしら関係があるのでは?」と疑われていたらしい。
とはいえ、彼と死んでいた登山者とは何の関係もなく、面識さえなかった。
しつこく調べられたが、結局この件は事故死として処理されたのだそうだ。
「死んだ人って他県の人だったらしいんだけど、一体どこから落ちたんだろう?」
疑いが晴れてホッとした様子の彼は、不思議そうにそう言った。
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