大学時代のサークル活動で不思議な体験をした。
主な登場人物ってほどでもないけど一応言っておく。
俺、友人A、先輩留学生3人(韓国、中国、オーストラリア)友人Aの友達のアメリカ人。
他は日本人のサークルメンバーな。
正直言って外国人組の国籍は殆ど関係ないけど、後の説明で分かりやすくするためってことで。
俺が入っていたサークルは、皆で集まって何かしらのテーマを決めて議論する活動をしてたんだ。
まあ、この体験はその議論とかは関係ないんだけどね。
いつもはサークル部屋でしょうもない話をしてるだけだけど、夏休みにはキャンプに行くのが伝統なんだよ。
場所はいつも同じで、田舎の方にある川のそば。
俺が一年生のときにサークルに入って一回目のキャンプに行ったときが始まり。
キャンプ場に到着して、俺と中国人の2人が薪拾い係りになったんだ。
そして2人で川のキャンプ場から少し離れたところで薪拾ってたんだけど、10mぐらいの嫌なじめっとした感じがする開けた場所に出てさ、そこに小さい祠みたいなのがあったんだよね。
俺はなんでか分からないけど、その祠にすごい不安感というか嫌悪感みたいなものを感じた。
だけどそれを見た中国人が異様に祠に興味持ち始めたんだ。
変なのは小汚い祠なのに宝物でも見つけたみたいな反応してたんだ。
そうしたら中国人がすぐさま祠に近づいて無遠慮に扉を開けた。
『おい罰当たりだろうが・・・』って思ったけど行動速すぎw
祠の扉も抵抗なく開いてさ、中には人工物にも見える黒い石が入ってた。
黒い石といっても、外観がツルっとしていたからプラスチックと言われても納得するような見た目。
中国人:「これほしい!」
いきなりそんなこと言い出して、これまた無遠慮に持ったんだよ。
その間も俺は嫌な感じがし続けててさ、祠とかにあるものを勝手に取るのは良くないって言ったんだ。
だけど中国人は「いいの!ほしい!」と言って持って行こうと歩き出したんだ。(もう話が通じない感じがした)
そのときに今まで感じて嫌なものが一気に膨れ上がってさ、中国人の手を叩いて無理やり石を落した。
そうすると中国人は怒るじゃん?
でも俺が「あの石を戻せよ!ヤバイ!ヤバイって!」とか言ってたら、凄い剣幕だったみたいで中国人は石を祠に戻してた。
自分では無意識だったけど顔が凄い怖かったって聞いた。
そして拾った木の枝とか持ってキャンプ場に戻った。
戻ってから中国人に「後で石を取りに行くなよ」って言ったんだけど・・・。
中国人:「自分でもどうしてあの黒い石が欲しかったのか分からない、なんで欲しがったんだろう?」
俺:「は?」
てな感じだった。
それからバーベキューの準備の間にあの祠のことを先輩に聞いてみたんだ。
先輩:「ああ、あそこね。なんか気味悪いよなあの祠」
俺:「そうなんすよ、あの祠なにか分かります?」
先輩:「知らん、でもなんか分からんが嫌な気分になるんだよな」
と言ってた。
中国人に嫌な感じしなかったか?と聞いたが、全然しなかったらしい。
だけど祠に行ったことのある他のメンバーに聞いたら、みんな俺や先輩と同じく嫌な感じがしたと言ってた。
結局よく分からないままこの年のキャンプは終わって帰った。
それから1年間とくに何事もなく、俺が2年生のときの話になる。
俺が2年生になってサークルに新しいメンバーが加入した。
その中に留学生の韓国人とオーストラリア人がいた。
長いからオーストラリア人は豪州人って書くわ。
そして毎年恒例の夏休みキャンプに行ったんだよ。
もちろん新規加入のメンバーも上で書いた中国人留学生もキャンプに参加したよ。
それとこの年は友人Aが友達だといってアメリカ人も連れてきたんだ。
そのアメリカ人は仕事で日本に来たけど、なかなか友達ができないのだと言ってた。
片言だけど日本語は話せてたし、特に断る理由もなかったからOKした。
俺は今回テント係りになって、薪は韓国人と友人Aが担当になったんだけど、その二人が薪拾ってキャンプ場に帰ってきたとき、何か言い争ってたんだよ。
友人A:「それ置いてこいよ!」
韓国人:「やだ、これほしい!」
聞いたらあの祠から黒い石を持って来ちゃったんだと。
それとあの黒い石を欲しがるときは、韓国人も中国人もなんか子供っぽくなっていた気がした。
俺も『あの石だ!』と思って、友人と一緒に「返してこい」って言ったんだけど聞く耳もたなかった。
周りにいた他のメンバーも石に気付いたみたいで集まってきた。
石が来てからあの嫌な感じもしてたし、メンバーも「なんだよあれ・・・」って感じだった。
だけど中国人と豪州人にアメリカ人までもが、韓国人が持ってきた石を取ろうとしたんだよ。
中国人:「それ前に私が見つけたやつ!私がほしい!」
豪州人:「私にちょうだいよ!」
アメ人:「いや、こっちに寄越せ!」
韓国人:「やだ!俺が見つけたんだ、俺が見つけたんだ、俺のものだ」
本当にこんな子供っぽい感じで黒い石を取り合い始めた。
俺も含めて他の日本人メンバーは、何こいつら大丈夫?って感じだった。
俺等からしたら、何て言ったらいいか分からないけど、黒い石が気持ち悪くて嫌な感じがしてたし、それを欲しいって取り合ってるんだぜ?
もう意味が分からなかった。
そしてここからがまた異様で、友人Aが急に金切り声上げたんだよ。
友人A:「やだー!!置いてきてよ!!!置いてきてってば!!」
声がキンキンしすぎて何言ってるか完全には分からなかったけど、こんな感じのことを叫んでいたと思う。
取り合う外国人組に叫ぶ友人Aと混乱するメンバーと、もう何が何だか分からなかった。
そしたら先輩が大声で「お前ら黙れ!」って怒鳴ったんだよ。
そこで皆がシーンなって、先輩が韓国人から石を叩き落した。
だけど韓国人は怒鳴った先輩が怖かったみたいで「あ・・・」としか言わなかった。
先輩が「これ戻してくる」って言って石を拾おうとしたんだけど、直接手で触りたくなかったみたいだった。
先輩:「おい俺!ちょっと割り箸持ってきてくれ」
割り箸持ってくる俺・・・。
俺:「どうするんですか」
先輩:「つまむ」
そう言って割り箸で黒い石をつまんでた。
なんか俺は犬のウンコかよとか思ってた。
そして先輩に付いて来いと言われて、一緒に祠まで行って石を戻したよ。
特に何事もなく祠から戻ってきたら、外国人組がぽかんとしてた。
前の年の中国人同様、どうして黒い石が欲しかったのか分からないとか言い始めて・・・本人たちも混乱しているようだった。
なんか不安しかなかったけど、先輩が「バーベキューの準備するぞー」って言うからキャンプは続行。
夜テントで寝る時も何事もなく、外国人組も石を取りに行くわけでもなく、次の日になってキャンプは終わった。
皆でワゴン車に乗って帰るときに、キャンプ場近くの小さい商店に寄ったんだ
そこは80歳ぐらいのお爺さんがやっててさ、友人Aと先輩と一緒にそのお爺さんに祠のことを聞いてみたんだよ。
お爺:「あぁ、あの気持ち悪いな祠か。黒い石が入っていることは知っているが、それ以上のことは分からん」
先輩:「そうですか。あの黒い石って我々は何だか嫌な感じがするんですけど、外国人達は異様に欲しがるんですよ」
確かによく考えるとあの石を欲しがるのは外国人組だけで、気味悪がったのは日本人の俺等だなと思った。
先輩がそれを言うと、お爺さんが「そういえば」と何か思い出したように言った。
お爺:「何年か前に白人さんがこの店に立ち寄ってね、あの祠の黒い石を取ったと見せてきたんだよ」
先輩:「え?でも石はまだありましたよ?」
お爺:「それがな、俺は石を戻した方がいいと言ったんだ、が白人さんは聞かなくてそのまま持って帰ったよ。だけど2週間ぐらい後に白人さんがまた来て、この石を祠に戻したい自分はあそこに行きたくないって言ってきて店に石を置いて帰ったから、しょうがないから俺が祠に戻したんだよ」
先輩:「その白人なにがあったんですか?」
お爺:「何があったかは知らないが、2週間ぐらいしか経ってないのに何かボロボロになってたなぁ」
先輩:「ボロボロ?」
お爺:「目に隈ができてるし髪はボサボサどころか少し薄くなってるし、肌もガサガサで服もよれて死ぬんじゃないかと心配になるくらい酷かったよ」
お爺さんは白人が黒い石を返しにきたときに少し話したみたいでそれを教えてくれた。
日本には観光で来ていただけだから、石を取った後は国に帰った。(ヨーロッパの人だったみたい)
そして黒い石が悪いものだと分かって戻しにきた。
わざわざまた飛行機に乗ったんかい!と思ったけど、向こうで捨てられなかったのかもしれないね。
結局、あの祠と黒い石自体はそこの地域の人でもよく分からないらしい。
でも何だか嫌な感じがするから近づかないでおこうという感性は一緒なんだそうです。
白人の人の話からして、あの黒い石は悪いものだとはわかるけど、日本人は近づきたくなくて、外国人は欲しくなるって不思議だなと思った。
でもそれって日本人は防衛できるけど、外国の人は無理どころか引き寄せられてしまうってことだよな。
あの黒い石は見ようによっては、上でも言った通りプラスチックのような人工物にも見えたけど、他にも日本人は近づきたくなくて、外国人は欲しくなる何か悪い物体の話とか聞いたことある人いる?
ちなみに俺も含めてサークル仲間全員とくに何事もなく過ごしています。
これが大学時代のサークル活動でした不思議な体験。
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