境界を踏んではいけない

小学校低学年の頃、自分は変なルールを作ってた。

「夕方18-19時の間は外歩く時、絶対に境界を踏んではいけない」というもの。

境界というのは自分の中では地面のひびだったり、マンホールとコンクリの境だったり、白線とコンクリの境だったり・・・とにかく『線』をまたぐのはOK、踏むのはアウトという決まりだった。
まあルール自体は高学年に上がる頃には結構アバウトになってたんだけど、割と無意識に続いてた。

中学の頃だったか、塾行ってたから18時半ぐらいに家出て、電車の時間があったからちょっと早足気味で歩いてた。
↑のルールのことはその時すっかり忘れてて、近道しようと普段通ってない路地に入った。
それがまた街灯ないし犬の糞(偶に絶対これ人間のだろってのも)も多いわ、潰れかけの廃墟と見紛うアパート群に挟まれてるわで、仲間内では密かに「ヤバい(奴が住んでたり“何か”いる)とこ」って言われてた。

その路地には入ってちょっと行った辺りのとこにでっかいひびがあった。
浅いけどほぼ道を横断するぐらいの。

それを自分の爪先が踏んだ時に、「ぅえ・・・」と思わず声出るぐらい気持ち悪くなった。
で、ふと前方見たらそのひびから先がやけに暗い。
夏だったからまだ周りそんなに暗くない筈なのに。

実際自分の身体の大部分がある方は踏む前と変化はなかった。
爪先が出てる方だけ。

もう訳分かんなくなって、頭の中では「はよ爪先抜いて引き返せやアホ」って思ってるのに何故か戻れないのも相まってプチパニック状態だった。

今思うとそん時の自分はさぞかし滑稽な格好で立ち止まってたんだろうなー。
それが不思議なことに戻れないのに、進むのは出来そうだった。

絶対進んだら駄目だと思ったけど。
焦って周りキョロキョロした時に左側のアパートの二階の窓が目に入った。
何を思ったのか目を凝らして何かと目が合った。

説明しにくいんだが、窓の角の所から片方の目だけ覗いてる状態・・・という感じ。

髪は見えなかった。
凄く白い肌にギョロっとした目が瞬きもしないでずっとこっちを見てた。
自分と目が合った後そいつ絶対笑ってた。
目が細まったし、野口さんみたいな「クックック」って感じの動きしたし。

暫く呆然としてて、ハッと気付いて慌てて目を逸らして後ずさった。
これも不思議だけどこの時はすんなり行けた。

いつもの道に出るまで全速力で走って一息ついて後ろ振り返ってみたけど何もなくて、入る前と同じだった。

先が暗くなってもなかったし、その時気付いたけどさっき見てたアパートの窓は板で塞がれてた。
時計見たら体感では5分くらいの筈が15分ぐらい経ってて、結局電車乗り遅れて塾遅刻した。
親に怒られたのが理不尽だった。

それ以来その時間帯に出歩く時は足下に気を付けてる。
何となくこの『線』はヤバいっていうのが直感というか雰囲気で分かるようになった。

毎日同じ所のがヤバいんじゃなくて、日々変わる。
出ない時もある。
でも出る時の時間帯はほぼ同じ。

冷静になって考えると、多分あの時あっち側に行ってたら帰ってこれなかった気がする。
覗いてた奴が何なのかも分からんし。もしかしたら食われてたかもね。

まあ逢魔が時とも言うし、何か違う世界に踏み入っちゃったのかもしれん。
これからも気を付けるわ。

長々とすまんかった。

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