掃除用具入れに誰かいる

カテゴリー「不思議体験」

十数年前の話なので、色々足したり引いたりしながら書きます。

小学5年生の頃の話。
ウチのクラスは健康の為に、早朝マラソンを義務付けられていた。
1時間目が始まる前に、学校の外周を走らなければならない。

俺と友人は走るのが嫌で、他のクラスメイトより30分早く学校に行き、走ったフリをし、サッカーとかして遊んでいた。

その日はいつもより早く学校に着いたので、サボり仲間の友人はまだ来ていなかった。
7時00分。
友人が来るまであと15分、他の生徒が来るまであと45分ぐらい。
1人でサッカーしてもつまらないので、教室で友人を待つことにした。

学級文庫の『まんが日本の歴史』を読みながら待っていると、人のクスクス笑う声がしたので顔を上げた。

・・・が、誰もいない。

「アレ?」と思っていると、教室の入り口の隅にある掃除用具入れが少し開いていて、そこから誰かがコチラを覗きながら笑っている。

暗くて顔は確認できなかったが、そんなことするのは馬鹿な友人に決まっている。

俺は、「あ~○○遅いな~~」と、わざとらしく独り言をいいながら、席を立ち上がった。
と、同時に、俺は机の上に飛び乗り、トン!トン!トン!と、義経よろしく八艘飛びで机を渡り、掃除用具入れに体当たりして扉を閉めた。

体で扉を閉めながら、手でガンガン掃除用具入れを叩き、アハアハ笑いながら、中にいるはずであろう友人に「ギブ?ギブ?」と聞いていた。
すると、教室のドアが開き、友人が入ってきた・・・。」

「なにしてるん?」と、友人は冷めた声で言った。

俺:「・・・え?おまえ今この中に入ってなかった?」

そう訊ねると友人は、「なんで俺がそんな臭い中に入らなアカンねん。・・・つーかアレ誰が来てるん?」と言いながら、窓の方を指さした。

指を指した方を見てみると、窓の横に束ねられたカーテンがふくれている。
俺たちもよく同じ事をするのでわかる。
誰かが中にくるまっているのだ。

俺:「いや・・・俺以外まだ誰も来ていなかったけど・・・・???」

俺が戸惑っていると、友人は手に持っていたサッカーボールを「誰やねん!!」と叫びながら、ふくらんだカーテンに投げつけた。

ボールは見事カーテンのふくらみに直撃!
しかし、ボールは跳ね返らず、カーテンはふわりとボールを受け止め、他のカーテンと同じように真っ直ぐ窓から垂れ下がった。

「あれ????????」と思った瞬間、「ガン!ガン!ガン!ガン!」と、掃除用具入れの内側から誰かが叩きだした。

俺も友人もビックリして思わず教室を飛び出した。

廊下に出ても教室の中の掃除用具入れはガンガン叩かれている。
俺も友人も怖くなって職員室まで走った!

担任はまだ来ていなかったが、他のクラスの先生がいたので、「教室に変な奴がいる!」的なことを言い、教室まで一緒についてきてもらった。

教室は既に静まりかえっていた・・・。

先生に掃除用具入れを開けてもらったが誰もいない・・・。

説明を求められ、「マラソンする為に朝早く教室で○○君を待っていたら・・・」と、起こったことを一から説明した。

漠然と怒られるような気がしていたが、先生は「このことは誰にも話したらダメだよ。担任の先生には私から伝えておくから」と、やさしく肩をたたいてくれた。

しかし馬鹿な友人と俺は先生との約束を守らず、その話を言いふらし、一時期学校は騒然となった。

先生にはこっぴどく怒られたが、みんな怖がるので早朝マラソンは無くなった。

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