風呂場の影

カテゴリー「不思議体験」

知人から聞いた話。

母親と二人暮らしでボロい一軒家に住んでた。
結婚することになって母親の老後のことも考え、結婚相手とも同居する話がついて、3人と将来の子供のことも考えて家も同じ場所に建て直すことになった。
その間、仮の住まいということで母子二人で賃貸のマンションを借りることに。
どうせ新築に移るまでの数ヶ月ってことでできるだけ安いところにした。

築何年もたった小さなマンションだったのだが、といっても清潔感があって良さそうな環境だった。

仮住まいに越してから、数日後、おかしなことに気付いた。
昼間は何もないのだが、夜中になると風呂場の蛇口からポタポタと水滴が垂れるのがわかった。
そういえばと、借りるときにバスタブのフタがなくて、風呂の栓も外してあったことを妙だとは思ったそう・・・。

夜中に水圧の関係かな?と、これくらいは、しょうがないなと思っていたある日、夜の8時頃に帰宅すると風呂場で人の気配がする。
母親が入ってるんだと思って「母さん、ただいま」と声をかけても返事がなく、すりガラス越しに何者かが風呂場内で動く影が見えるだけ。

その時、玄関の扉が開いて「ごめん、帰ってたの・・・となりと話し込んでるうちに上がらせてもらってこんなに時間がたっちゃった・・・」と母親が帰ってきた。

「へ?じゃあ風呂に入ってるのは誰だよ?」と風呂の扉を開けてみてもそこには誰もいなくて、蛇口からポタポタと水滴が落ちてるだけ。

気のせいかな、と思うことにしてまた数日後・・・。
夜中にトイレに行こうと起きた。

ユニットバスで風呂場に洋式トイレがあるタイプだったんだけど、母親が用を足すでもなくトイレのフタの上にきょとんと座ってバスタブをじっと見つめている。

私:「何?どうしたの?」

そう聞くと、母親が我に返ったように「血!風呂の蛇口から真っ赤な血が出てたの!」と。

それで、バスタブを覗いてみたけどポタポタ落ちる水滴は相変わらずだったのが、普通の水だった。
落ち続ける水滴で洗い流されたのか、バスタブの底ももう赤くはなかった。

「寝ぼけてたんだろう?」とはいったものの、自分が体験したこともあり、怖くなって数日後にはそこから出て、結婚相手の実家に居候することに。

それから後、新居も建って結婚し子供もできて四人で新居に住んでいて、それからは何も起きてないので安心してるのだが、あのマンションはなんだったのだろうか?と今でも気になるそう・・・。

賃貸マンションを借りるときは、まず風呂場にフタがあるかを確かめたほうがいいかもしれません。

もしフタがないと、同じことが起きるかもしれないです・・・。

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