家が2つある

カテゴリー「不思議体験」

これは去年の夏にあった話なんだが、まず、俺の家の説明をさせてくれ。

俺の家は近くに2つあって、1つはマンションでもう1つは一戸建てなんだ。
なんで2つあるかっていうと、一戸建ては元々ばあちゃん家で、今うちのマンションの方で介護してるから誰も住んでなくて、弟が学校帰りにピアノ練習したり、ちょっとよってくつろぐ位なんだ。
ちなみに俺は19歳の大学生で、弟は10歳の小学4年生。

んで、俺は夜によく地元の体育館のトレーニングルームを使うんだ。
使用料安いから。
その日も体育館に行ってたんだ。
そうだ、うちの親は共働きで、父は夜勤で母はたまに夜勤が入る。
その日も母は夜勤だったから、夜家にいるのは俺と弟とおばあちゃんだけになるんだ。
んで、俺は9時位まで体育館にいて、家に帰ってきたらおばあちゃんしかいなくてさ、めちゃくちゃ焦った。

それで焦った俺はまず、母に電話したんだよ。
そしたら母も血相を変えてさ、そりゃまあ小学4年生が夜の9時に居なくなったら焦るのは仕方ないよな、俺も焦ってたし。
それで、とにかく思いつく所に電話しろって言うから、弟の友達の家とか色々電話しても居なくて、そんな時、もしかしておばあちゃん家にいってんのか?って思って、一応かけてみたんだよ。

そしたら、ちょうど繋がってさ。
良かった!って思って、「おい、お前何やってんだよ!みんな心配したぞ」って言っても、電話の向こうでは何も言わないの。

んで、変な奴って思ったけど、その時は焦ってたから、とりあえず「聞いてんのか!とりあえずそこにいろ!迎えに行くから」って言って、電話きったんだよ。

そして、支度して出て行こうと思ったら電話が鳴って、誰だよ!って思ったら体育館からだったの。
んで、『あの、Aさん(俺の名前)ですか?』って言うわけ。
だから「そうですけど、何か忘れ物しましたか?」って聞いたら、『えと、弟さん(弟の名前)がいらして、いまこちらで保護しているのですが』って言われた。

俺は「は?」ってなったんだよ。
そりゃそうだろ、さっき電話で話したばっかりなんだから。
でも、体育館から電話があったから、もしかしておばあちゃん家から勝手に体育館まで行ったのかと思ったんだよ。徒歩5分位だから。

んで、体育館に行ったら弟が泣いててな、「どうしたんだよ」って聞いたら、夜に家にいたら何か怖くなって、お兄ちゃんの所に行こうと思ったって言うんだよな。

とりあえず、体育館の人に謝って家に帰ったんだけど、この時なんとなく聞いてみたんだよ、「何で、まずおばあちゃん家に行ったんだ?」って。
そしたら弟は何のことか分からない顔して、「おばあちゃん家になんか行ってない」って言うんだよ。

そん時に気づいたんだよな。
あの時電話に出たのはもしかして弟じゃなくて、他の何かなんじゃ無いかって。
それで、一応おばあちゃん家の電話の着信履歴を次の日見に行ったら、ちゃんと会話したことになってんだよ。
それを見た時は本気で背筋が凍ったな。

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