後輩の話。
大学生の時分、彼は警備会社でバイトをしていた。
不思議なビルが一件あったのだという。
真夜中にそこで定時の見回りをしていると、廊下に場違いな物が鎮座しているのを発見した。。
注連縄を巻かれた、大きな岩の塊・・・。
そんな物がデンと置かれている。
とても人が抱えられるような代物ではない。
どこからこんな物を運んできたというのか、思わず驚愕してしまった。
慌てて管理室に連絡すると、警備の先輩は一言だけ注意してくれた。
『お岩様に粗相のないようにな』
そこは雇われ者の哀しさ、言われた通り、触らないようにして見回りを続けたのだという。
帰りにもう一度覗いてみると、あの大岩は綺麗さっぱり消え失せていた。
「アレって一体何だったんですかね?会社の人でも、偉い人達は知っていたみたいですけど」
その後も二回ほど、彼はそのお岩様に相見えたのだそうだ。