毎年お詣りは欠かさない

カテゴリー「不思議体験」

少し前に起こった事。

実家に住んでいた頃、よく金縛りにあっていた。
どんなに熟睡していても必ず目が覚めて、物凄い耳鳴りがした後体が動かなくなる。
そして頭を上から押さえつけられ、数分間たつと金縛りが解けるかそのまま意識が途切れる。多分寝てるんだと思う。

夜金縛りが遭った時の朝は、汗びっしょりで物凄い倦怠感がある。
初めて金縛りに合ったのは高校を卒業してすぐ実家が引っ越し、新しい自分の部屋。

4月からは寮生活だったのでそこでは全く何もなかったが、実家に帰ると金縛りに合う。
その後寮から実家に帰り地元で仕事に就き、実家から仕事に通っているとやはりちょくちょく金縛りに合っていた。

ある程度貯金も出来た時、実家を出てアパートを借りた。
ちょっと変わった作りの建物で外から見るとまるで一戸建てのような建物だが、中に入ると階段も玄関も建物の内部にある作りのアパートだった。

部屋も1階は2DKのファミリータイプでだが2階は単身者用ワンルームという作り。
自分は1階の真ん中の部屋で両隣には先住民がいた。

右隣は同じ歳位のカップル。
左は母子家庭で、自分が引っ越して来てから四カ月程で母子家庭が引っ越して行った。
母子家庭が引っ越してから1年程でカップルが引っ越して行き、2カ月程1階は自分だけになった。

アパートでは金縛りは起きなかったが、会社で変なことが起きるようになった。
仕事の資料が入っている棚の隙間に赤ん坊の顔が横になって挟まっていたり、一人で3階の会議室の掃除をしていると足場のない外の窓を何度もノックされたり給湯室の扉の上に長髪の生首が乗っていたりと、ちょくちょくイヤーなモノを視るようになった。

誰にも相談出来ずにいたある夜。
遠くから響く電車の音もしないくらいの深夜。
ふと目が覚めて、実家にいた頃をふと思い出した。
「こういう時ってよく金縛りにあっていたな」って思い出した直後にガチャガチャ!!と、ドアノブを回す音がした。

完全に目が覚めて布団から半身起こした状態で耳を澄ますと母子家庭が住んでいた部屋のドアを叩きながら男の声で「なぁ、居るんだろ?入れてくれよ」と言いながらドアをガタガタさせていた。

元隣人の「元隣人の男か・・・」と思い横になると今度は反対の空室のドアをガタガタさせて「頼むよ~入れてくれよ」と始まった。
今度は完全に布団から起きて様子を伺っていたんだ。
また静かになった所で、久しぶりに耳鳴りがしてきた。

「あっ・・・!」って思って居るうちになんて言うか、気圧が変わって耳がツーーーンてなるときみたいになってくる。
周囲が騒いでいたならきっと、急速に音が遠ざかって行ったと思う。
ただ外の男の声とドアを揺らす音だけがヤケに響いていた。

「なぁいるんだろ?」
「開けてくれよ」
「俺だよ。開けてくれよ」

そう聞こえてくる。

ヤバイやつだと思い変な汗が出てきて体がすぅ~っと冷えていくのがわかった。
暫くすると男の声は聞こえなくなり体も動くようになったがその晩は一睡も出来なかった。

朝になってシャワーを浴びようとしたら、子供の頃から毎年家族で行く某大師様の御札がヒビが入っている。
いつもはお水と甘い物をお供えしていたんだけど、今朝はお酒とお菓子をお供えしてから仕事に行った。

それからは会社でも家でもおかしな事は起こらなくなった。
完全に蛇足だけど、父は昔、仕事で乗っているワンボックスカーで玉突き衝突事故に巻き込まれていた。
後ろの車に追突され前に停車していたセダンに突っ込んで、車は廃車になった。
・・・が、全くの無傷で助かった。

昔のワンボックスカーって、今のと違いボンネットが無くてエンジンが運転席の下にあったから追突するとかなり危険。
父もダメかもしれないと覚悟したくらい。

後日ディーラーへ預けられた事故車の私物を取りに行ったんだけど、当時親戚から貰った某大師様の交通安全の御守りだけがズタズタになって、中に入っていた木が綺麗に真っ二つになっていたらしい。

それから毎年お詣りは欠かさない。
今でも某大師様へは御参りをへ行っている。

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