バイトの帰り(11時少し前)に近所の公園の前を通った時の話。
そこは駅からちょっと離れた住宅街の中だから、夜はけっこう静か。
公園から話し声が聞こえたのでなんとなくそっちを見たら、中のベンチで20代くらいの男女二人が談笑してて、二人の正面にあと一人がいた。
あとは男女の前に自転車が1台。
こっちからの距離は15メートルくらいだったと思う。
それで公園の前を通り過ぎる間、(俺は自転車に乗ってた)なんとなく違和感を覚えてその人たちをガン見してしまった。
ベンチの近くに街灯があるんだが、そのお陰で座ってる男女の方は髪型や服装まで見える。
だけど、二人の前にいるもう一人は影みたいに真っ黒で、光が当たってないみたいだった。
それだけじゃなくて、その人は頭の位置が妙に高かった。
最初は背の高い人だなぁと思ったんだが、よく見ると、男女の前にある自転車のカゴに座ってた。
寄りかかってるとかじゃなくて、カゴの上にしゃがんでた。
サイドスタンドタイプの自転車らしく、車体もカゴもけっこう傾いてたんだが、全く不安定さの感じられない安定した姿勢。
その時は「すげーアクロバティックww」とか感心してしまった。
でも、ベンチの男女は自転車の上の人をスルーしてるみたいだった。
自転車までの距離は1メートルくらいなのに、二人は膝をくっつけ合うように座って、話に夢中。
このへんで「なんかおかしいな・・・」と思ったんだが、もう公園も通り過ぎるし、あんまりじろじろ見るのもなんだから前を向こうとした。
その瞬間、自転車の上の人が、肩を震わせながら、「ぐひひひひひ・・・・・・」って笑った。
こっちまではっきり聞こえる、
異常に響く笑い声だった。
でもベンチの男女は変わらずスルー。
俺は「アイツがこっち見たらどうしよう」って怖くなって、すぐに視線を外してそのまま通り過ぎた。
振り返って確認する勇気はなかった。
あれ以来、夜も毎日その公園の前を通るが、自転車の上の人を見たのは今のところあの日だけ。