電車は無人だった

カテゴリー「不思議体験」

今から4年前、私がまだ中一だった頃。
地元茨城から東京にある中高一貫校に通い始めて、暫く経った頃の話。

丁度人生初の中間テストだったその朝、私はいつも通りA駅で中央総武線に乗り換えた。

進行方向の先頭車両に乗った、という事も覚えている。(O駅までその号車は女性専用車なので、ラッシュでも微妙に空いていたからねw)

「ドア閉めまーす、駆け込み乗車は・・・」

ピコーンピコーンピコーン(ドア開閉のブザー)・・・という感じでいつもはドアが閉まるのだが、その日はちょっと様子が違った。

ドアが閉まった後も、電車が発車してからも、ずっと開閉ブザーが鳴り続けているのだ。

ピコーンピコーンピコーンピコーン

周りの人達もこのドアを、物珍しそうな目で眺めていた。

次の駅に着いても、やっぱりブザー音は消えず、隣のドアのブザーと若干テンポがずれていながらも、絶えずドアの開閉を知らせていた。

まあそんなに大きい音ではないし、無機質で単調なリズムの繰り返しだから、乗車客はだんだんブザーに興味を示さなくなっていった。
私も、何分テストのせいで殆ど徹夜だったので、吊り革に掴まりながら、ウトウトと微睡んでしまった。

はっと気付いたら、電車は無人だった。

え?何で!?、と辺りを見回しても、立っている人はおろか、座っている乗客さえ見当たらない。
ラッシュ真っ盛りの7時近くにこの乗車率は、女専と言えども不自然である。
電車の先頭、運転手の席はブラインドが掛かっていて見えなかった。
そして、電車の走る車輪の音がしなかったのだ。

ピコーンピコーンピコーン。

ただ、間抜けなブザー音のみが鳴り響いていた。
途端に背筋が凍り、脳天に強いショックを受けながら、私は隣の号車へ一目散に走った。

スライドドアを開けて飛び込んで、乗客がいるのを確認して、暫く放心してから、恐る恐る後ろを振り返った。

元通りである。
乗客は普通にいたのだ。
隣のサラリーマンが、肩で息をして青ざめている私を怪訝そうな目で見ていた。

今考えてみればあの時は徹夜明けプラス初めての定期テスト直前、という精神的にかなりキツい状況に追い込まれていた。
幻覚や夢の類だったのかもしれない。(というか夢だと思っている)

私も今は女子高生、もうずっと中央総武線に乗って学校へ通っている。
もう4年前の話、自分もすっかり忘れていた。

でも、今更こんな昔の曖昧な体験談を書いたのには理由がある。
先月、秋葉原駅6時40分位発の電車に乗ったら、ドアの開閉ブザーが壊れてずっと鳴っている所があった。

多分5から6号車。
誰か同じ電車に乗り合わせた人はいないだろうか。

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