数年前の夏、友達とイギリスに行った時のこと。
コンウォール半島の田舎の古いレストランで遅い夕食を食べていると、友人が怪訝そうな顔で「アレ何だろ」と、店の隅にある大きな窓を指さした。
見ると、リボンのように長く尾を引いた赤い光が2筋、暗い裏庭で絡み合うように泳いでいる。
私:「ホタル?」
友達:「あんなに大きいホタルはいないよ、何かのライトの反射じゃない?」
私:「午前中雨だったからリンってことないかなぁ?」
などと言いつつ二人でしばらく眺めたが、やっぱり正体がわからない。
閉店間際で客は私達しかいなかったが、呼べば聞こえる場所に店の人がいるし、裏庭まで距離があるので別に怖いとは思わなかった。
友達:「人魂かもよ」
私:「きゃー、幽霊??」
そんな感じでふざけながら私たちは席を立ち、レジで支払いを済ませた。
で、何事もなく店を出ようとしたんだけど、友人が突然「うっ!!」って固まった。
「うん?」と友人の視線の先を追って、私も息を呑んでしまった・・・。
裏庭にいるとばかり思っていた赤い光が、窓の上の天井際を漂っている。
私たちは黙って店を出て、暗い道を小走りでB&B(朝食付き民宿)に帰った。
あの人魂?は最初から窓の内側、つまり店の中にいたのかもしれない。
あまりにもはっきり見えていたので、意外と冷静でした。