タロットカード

カテゴリー「不思議体験」

中学時代、吹奏楽部に所属していた。
年に一回夏のコンクールと初夏の吹奏楽祭。
その他は目的意識のはっきりとしたイベントは無い。
楽器の練習をするというより、遊ぶために来ていた。

当時二年生だったが、先輩である三年生は3人しかおらず、しかも半幽霊部員で、実質自分たちの学年が仕切っているようなものだった。
いつも大体5人くらいのグループで、ふやけた練習を一頻りやった後、音楽室でだらだらと遊んでいた。

その頃自分たちの周りでは色々な原因不明の現象が起きていて、多少の事では騒がなくなっていた。

Hというヤツがタロットカードを持ってきた。
何となくで買ったと言う。
面白がって、カードに添付されていた説明書に書かれていた簡単な占いをやっていた。

始めてから一時間も経たない頃から、場の全員が妙な雰囲気は感じていた。
空気がいつもと違う。
何かマズいことが起き始めている。
遠巻きに見ていたグループ外の連中は、怖がって先に帰った。

当時の自分は、ちょくちょく起きる怪現象に図太くなっていたし、また自分の所謂「霊感」に自信を持っている、しょうもない状態だった。

やっていたのは簡単な占いで、「未来」「願望」「現在の周囲の状況」などを指定の場所に置かれたカードで判断する様な感じのものだった。(詳細は覚えてない。何しろ十数年前)

ある時から、何度やっても「現在の周囲の状況」に「悪魔」と「死神」のカードばかりが出るようになった。
7~8回やって、全てだった。

背後で、窓がノックされる音がした。
勿論、振り返っても誰もいない。
そして音楽室は3階。

いよいよマズいだろう、と解散することにした。
帰り支度を済ませ、音楽室を出た。

施錠し、鍵を職員室に返しに行かなくてはならない。
職員室は下の階で、薄暗い廊下を通って行かなくてはならない。(点けようと思えば電気は点くのだが・・・)
周りがみんなビビっているので、自分がその役をかってでた。

廊下を降りてすぐのところで、背後の窓ガラスがバンと鳴った。
まるで手の平を叩きつけるような音だった。

振り返ってはいけないと思い、気付かないフリで職員室へ行き、顧問に鍵を返した。
明るい職員室から出ると廊下はますます薄暗く、さすがに怖くなって走り出した。

すると、3メートルくらい先の廊下がおかしい。
白く盛り上がっている。
距離が近すぎて止まれない。
勢いをつけて飛び越えた。
飛び越えながら脚の下に見たのは、1メートルかそれ以上ある白い顔・・・。

粉っぽい感じに、生えている箇所(廊下と顔の継ぎ目)はひび割れて凸凹していた。
女とも男とも判断できない人形のような顔は無表情で、目を閉じていた。
睫毛まで真っ白で、一瞬その造形に感心した。

着地して振り返ると、もう消えていた。

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