ある晴れた日の朝、某銀行支店の支店長代理(39歳)の運転する車が、次長(38歳)と銀行の得意客を乗せて、茨城県竜ケ崎市にあるゴルフ場に向かっていた。
車が水戸街道の松戸市及び柏市を経由した後の午前8時過ぎにそれは起こった。
150メートルほど先を走っていた黒塗りのトヨペット・ニュークラウン周辺から、突如として白煙とも水蒸気とも判断付かないガス状の気体が噴き出した。
しかし、それは5秒ほどで霧消したものの、前方を走行していたはずのトヨペット・ニュークラウンが影も形もなく消え去っていた。
3人は驚愕して、思わず「車が消えた!」と叫んだ。
その車は水戸街道の葛飾区金町付近からずっと先行していた東京ナンバーの車で、後部座席の左側でクッションにもたれた年配の男が新聞を読んでいたことを3人ともはっきりと覚えているという。
現場付近は横道も急カーブも存在しない直線の道路であることから、知らぬ間に車を見失ったとは考えられず、3人は「誰にも信じてもらえそうもない現象だが、車は確かに目の前で影も形もなくなった」と強調するのみだった。
この類の話としては珍しく、1964年3月4日付けの毎日新聞首都圏版夕刊で取り上げられた。