スライム人間

カテゴリー「不思議体験」

その時期はかなり変な人が出没していたらしく、中学生だった俺らのクラスメイトの女子も度々被害に遭っていた。
オレは自分のクラスの女子には興味が無かったので気にもしなかった。

しかし、ある日、オレが気にしていた部活の後輩が変な人に追いかけられる被害にあった。
その子はかなりその事件にショックを受けていた。
ココでオレが先輩として、そして男として・・・その子にいいところを見せるチャンスだと思った。

その子が被害に遭った次の日に、僕はその子に「家まで見張ってあげるから安心して。」と言って下校時にその子と少し距離をとり、万一の場合に備えて竹刀(ちなみにオレは剣道部だった)を片手に後ろからついていった。

その子が何もなく、家に着きホッとした様子で追いついた僕と会話をしていた時に通りかかったオレの同級生が「おっ?お前、そいつと付き合ってんのかぁ?」とかチャチャ入れてきたので3人で会話を始めた。

そのとき、ふとオレが道路を見た、
すると1台の軽自動車がオレの前を過ぎていった。
その車の助手席を見て俺は我目を疑った。

何と助手席に座っていたのは緑色をしたスライムのような人間。
いや、人間型のスライムといったほうが良いだろうか。
鼻のふくらみや口の形はあったものの、その他はスベスベのような感じ(?)でまさにのっぺらぼうだった。

全身タイツ(そんな格好で車に乗るのも変だが。)かと思ったが、夕日の光を受けたそれは布のテカテカした光沢ではなく、どんよりとした銅の金属光沢と言った感じだった。
ビビッたオレは声も上げられず、ただ通り過ぎてゆくその車を指差すだけだった。

そのうち、オレの異変に気付いた2人はオレの名前を呼んだ。
我に返ったオレがその事を打ち明けると、2人にかなり笑われた。
いいところを見せるはずの俺はかなりの恥をかいた。

それから1週間たったくらいの木曜日、俺はダウンタウンDXを観ていたわけだが、其処に出演していた的場浩司が「ゴム人間」について必氏に話していた。

ダウンタウンその他出演者や見ていた俺の母も笑っていたが、俺一人だけが的場の言葉を真剣に受け止め、納得していた。

変なオッサンよりも緑色ののっぺらぼうの方がよっぽどこわいな。
まぁ端からみたら竹刀を持ちながら女の子の後を追跡するオレのほうがよっぽど変な人に見えただろう。

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