二十歳で関西から上京した。
おなじ職場で同い年のAという男に出会う。
Aとは初対面。
俺は自分の名を名乗り「宜しく」と挨拶する。
Aは「まさかお前にこんな形で会えるとは」といわれた。
俺は意味がわからなかった。
それから月日を重ねAとは兄弟のように仲良くなった。
あの初対面の時の事などすっかり忘れていた。
それから何年かしたある日、俺は不思議な夢をみた。
何故か中国語を喋っている5才くらいの俺。
俺を背負って一生懸命走っている10才くらいのAだ。
俺は背負られたまま後ろを振りむく。
すると、刀をもった男二人に追われている。
それから逃げていたのだ。
俺は恐くて泣いた。
Aが「泣くな!大丈夫だ!」という。
日本語ではないがなぜか理解できる。
力尽きてAが転ぶ、俺はずっとAの背中にしがみついている。
だが男二人に捕まってしまった。
俺とAは引き離される。
A:「弟は殺さないでくれ」と叫んでいる。
ここでAと兄弟だった事がわかった。
男が刀を振りかざしAの首をはねたところで目が覚める
目が覚めた時は普段はもう仕事に行く時間。
急いで支度し急いで仕事へ。
主任に詫びいつものように仕事をしていたらAが「なに遅刻してんだよ」と笑いながら俺に言う。
「うるさい」といつものように冗談混じりで言い返す。
仕事が終わりAと飲みに行く事になった。
俺はAに一部始終、夢の内容を話す。
A:「俺も中学の時、同じ夢みたんだ。初めて職場で会った時はすぐにお前だって分かったよ」
俺は初対面の時に言われたことばの意味がようやくわかった。
今生まれかわってAとは兄弟ではなく友人として出会えた。
その後は何故かお互いその話を話題にはしてはいない。
あまりいい前世ではなかったから。
なぜ追われていたのか俺は夢でそこは見ていない。
Aから聞いたんだが、俺がワルさして母親が俺の肩あたりを刃物で押さえ付けて切っていたそうだ。
それを見ていたAが耐えられず母親の頭を石でたたいて殺してしまって、追い掛けてきてたのは、親父と年の離れたもう一人の兄だったと。
Aは俺のために母親を殺して親父に殺されたってこと。
俺には生まれつき両肩に傷みたいなものがある。