俺が中学生の頃体験した話。
その日は仲の良い友達三人と俺で、いつものように帰り道を歩いていた。
しばらく歩き、友人Yの家の近くにさしかかった時、ガキ大将Oがニヤニヤと笑い出した。
気になった俺がどうしたのか、とたずねてみると、Yの家の少し横にある病院を指差してOが言った。
O:「あそこに道なんてあったんやなwちょっと行ってみらん?」
Oの指差す方を見ると、見慣れた病院と、見慣れない小道があった。
あんなところに道なんかあったかな?なんて疑問に思いつつ、俺はその道に踏み入っていくOを追っていた。
その道はかなり不気味で、草木が生い茂り、しゃんがんだ状態の人間が1人通れるかどうかという狭さだった。
俺たちはOを先頭に一列に並び、不気味な小道を這いながら進んだ。
道はすぐに途絶え、俺たちは開けた空間に出た。
説明しづらいが、俺たちの後ろにはさっき通った小さな道。
俺たちの右側にはとてつもなく汚く大きい沼。
そして目の前にはかなり長く先が見えない道があった。
Oは「この先が気になるな」なんて言いながら目の前の道を突き進む。
俺たち三人は置いてけぼりにならないよう彼についていった。
先ほどの小道とは違い、かなり広い道を4人が横一列になり談笑しながら進んでいく。
Yは長年この辺りに住んでいるが、あの小道には気づかなかったらしい。
途中、道のところどころで変な銅像?を見かけたが、あの銅像は◯◯先生に似てるだとか中学生らしい会話のせいで特に怖くはなかった。
40分は歩いたと思う・・・。
気がつくと俺たちは病院の入り口に戻ってきていた。
目の前には3つの学校指定バッグ。
小道を通る時に邪魔だからと小道に入る前に置いておいたバッグだ。
みんなポカーンとしていた。
だって俺たちは道を歩いてたんだ。
なんで一瞬でここに戻ってきたんだ?
ただまっすぐ歩いていただけなのに・・・。
例えるなら、まるでドラクエのルーラだった。
一瞬で全員が瞬間移動。
唖然としているとYが口を開いた。
「あの小さい道・・・なくなってるやん」
病院の横の小さな道。
俺たちが四つん這いで進んだ道。
なくなっていた。
そこにはコンクリートの壁が冷たく打ちつけられているだけだ。
だがそんなことはどうでも良い。
俺は気づいてしまった。
俺たちは4人だったが、今は3人しかいない。
俺、O、Yあと一人・・・誰だ?
俺の後ろにいた男。
なぜおかしいと気づかなかったのだろう。
帰り道の段階から一緒にいた4人目の誰か、謎の小道、ルーラ。
ワケがわからなかった。
その日は気味が悪くなり、全員散り散りに家に帰った。
あれから四年がたつが、俺たちがあの病院に立ち寄ることはなくなった。