自分ではすごく奇妙で怖かった話。
東村山から新宿へ帰ろうと真っ暗な田舎の駅に入り電車を待っていた。
ホームには照明はあるけど、駅は山や畑に囲まれて辺りは真っ暗。
電車を待つのも俺だけで、心細くベンチに座っている。
一つ視界から現実世界を感じさせてくれるものといったら、真っ暗な景色の中に、赤くボヤ~と浮かび光る「医院」という電光看板だけ。
それもまた俺の奇妙さを盛り上げたてた。
電車がホームに到着すると乗客も数人おり、少し、その奇妙な世界と別れを惜しむような心境で電車の窓越しに「医院」と無人駅を後にした。
新宿までは1時間近くかかり、俺はスカスカの車内で悠々と眠りに落ちる。
しばらくしたのか、ふっと目を覚ますと、電車は動いておらず乗客も俺一人で窓越しには不気味に赤く光る。
「医院」
山手線のような循環線ではないが、折り返し運行のため、「あ~寝過ごしちゃったか」と、もう一生くることはないと思っていた無人駅に再びいることに、背筋をゾクッとさせ、回送車両を降り、再び次の電車に乗って新宿をめざす。
結局、その後、3回乗ってもいつのまにか眠りについてしまい、ドキッと目を覚まし「医院」を目で探す作業を繰り返し・・・。
終電を逃して、この日は東村山の友達宅へ泊まることになった。