パピヨンを抱く老婆

カテゴリー「不思議体験」

中学生のころから私学に通いだした俺は、いつも電車で通学していた。
家から最寄の駅に行くとき、駅の駐輪場で毎日、白と黒のパピヨン犬を、まるで赤ん坊のように抱きかかえたおばあさんに出くわす。

最初の頃は、あの人毎日ここに来てるんだなぁとしか思っていたなかったが、どちらの方から言い出したのか忘れたが、次第に互いに挨拶するようになった。

で、エスカレーター式の学校だったので、高校も同じ所に通うようになった。
大学も自宅から通える所の大学に進学し、就職も自宅から通った。

俺はその後、結婚したが、そのまま親と同居して、子供も生まれ、やがて高校に上がる年になった。

その間も、俺は今までと同じような時間に(前後30分程度は遅く家を出たり早く出たりしたが)駅に向かい、その犬を抱えたおばあさんと顔をあわせ、挨拶をし、電車に乗っていた。

親がそのおばあさんと犬の名前を知っていたから、今まで油断していたが、もうかれこれ30年近く顔を合わしているが、年をくっていないんだなぁ。

しかも、おばあさんだけじゃなく、犬のほうも30年近く同じまま。
このスレの存在を見て、ふいにそのおばあさんの事が不思議に思えるようになった。
ただ、それだけのことなんだけどね。

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