小学校4年生の頃の話。
大好きなじいちゃんが田舎からこっちへ来る時にいつも買ってもらうものがあった。
プラモや超合金シリーズ。
それらを大事に一つ一つ違うケースに入れて自分のクローゼットに入れてた。
眺めてるだけで幸せだった。
宿題もコレクションを眺めていれば苦痛じゃなかった。
家族の誰にも触られたくないので「絶対に触らんといて」と部屋に入る人にいい続けてた。
幼稚園くらいから集めてるコレクションはケースに入れてるから傷一つなかったんだ。
でもある日、学校から帰ると弟と母親がリビングで俺のコレクションを戦わせて遊んでたんだ。
俺は泣いた。
泣きながら「なんでそんな理不尽な事するんや!なんで人がやめて欲しい事やめてくれへんのや!なんで人が大事にしてるもんをそんなに雑に扱うんや!弁償しろ!」と、母親と弟に言った。
母親は「もう大きなったんやから別にそんなんええやないの。こんなんもう興味ない年やろ?弟にあげてしまい?壊れてへんし使おうと思ったらまだまだ使えるやん」と言う。
話にならなすぎて情けなくなり、マンションの9階に住んでいたんだけど、腹が立ちすぎて何もかもがどうでもよくなってベランダから身を投げた。
落ちてる途中で家族で唯一大好きなおじいちゃんの顔が浮かんできて後悔した。
『もうじいちゃんに会えなくなるんだ』と考えた。
じいちゃんに謝りながら落ちていった。
3Fのあゆみちゃんの家が目に入り、地面が近いことを知って目をギュッと閉じた。
それで中々地面につかないのでゆっくり目をあけると、家の玄関で冷や汗びっちょりな自分が家の風景を眺めていた。
コレクションを見て無事だったので安心した。
次の日。
学校から家に帰ると昨日、夢だか妄想で見た光景と遭遇した。
母親:「もう大きなったんやから別にそんなんええやないの。こんなんもう興味ない年やろ?弟にあげてしまい?壊れてへんし使おうと思ったらまだまだ使えるやん」
そこまでのくだりが全く同じで、また夢だと思った。
夢だったら何してもいいよねと考えた。
母親と弟が大事にしているものを全部ぶち壊してやろうと考えた。
でも何を大事にしているかわからないから気が済むまで家を壊してやろうと計画して家を飛び出した。
子供会の代表をやってる友達のお父さんに公園の用具入れにある大きな金槌を貸してもらった。
何に使うのか聞かれたけど家で使うと答えたらすんなり貸してくれた。
家に入り、台所の食器棚からぶち壊した。
意外にハンマーが重くて現実感があった。
飛んでくる破片なんかでケガもするし、じいちゃんに買ってもらった勉強机の中に入れてる物までそのまま再現されてた。
テレビもビデオデッキも炊飯器も冷蔵庫もお風呂も目に映るもの何もかも壊した。
途中で警察が来て家から引きずり出された。
ハンマーを取り上げようとするのでダメ押しついでに台所の窓を割った。
気がつけば警察署にいた。
なんでこんな事したの?とか色々聞かれた。
全部話したら楽になって、この夢いつ終わるんだろう?と思いながら目を開け閉めしていた。
迎えにきた父親に警察署内でボコボコにされて、あんまり痛くなかったのもあってまだ夢だと思ってた。
家を追い出されて公園で寝ていたら耳の裏あたりから血が出てて舐めると血が鉄臭い味がした。
それがきっかけでこれは現実なんだ!と気付いて怖くなった。