友人と二人で登った時、大雨が降った。
大きな木のウロ(洞窟状の空間)に入って雨が止むのを待ってると、誰かがウロの外に集まって来る気配を感じた。
雨はどしゃ振り。
バケツの中身をブチ撒けたって表現あるが、まさにスコールみたいな大雨。
立っているのも辛いはずなのに、集まって来た人達は平気そうだった。
友人は眠っており、俺は一人で異様な雰囲気にビビっていた。
しばらくすると、外で歌声が聞こえてくる。
物凄い雨音だったが、それ以上に大きな歌声だった。
どこの言葉かわからないが、雄叫びに曲を付けた様な不思議な歌だった。
聞いている内に眠くなって、俺も寝てしまった。
起きた時には、友人も目を覚ましており雨も止んでいた。
その後、普通に下山したんだが、眠っている時に見た夢も不思議だった。
寝ていたのと同じ木が見えたんだが、周りの様子は全然違う。
今は山道の道端だが、夢の中の木の周りは円形の広場になっていた。
ウロの前に石の板が立っており、その前で原始人の様な人々が歌っていた。
その歌は、俺が眠る前に聞いたのと同じ歌だった。
俺はその光景を意識だけで見ていたが、すぐ隣で誰かの声を聞いた。
男か女かも覚えていないが、その夢の中の光景は縄文時代ぐらいの光景で、木のウロの中は神聖な場所として祭られていたらしい。
又、石の板を通じて、過去や未来を見通していたとも言っていた。
俺に石を探して欲しい様な事も言っており、それが気に掛かっている。
下山してから知ったが、山の近くで縄文時代の遺跡が発掘されていた。