実話だからしょぼいかも・・・。
俺は九州の田舎育ちだから、不思議な話をよく聞くんだよ。
やれ狸に化かされただの、やれ山の神様を見ただの、日本昔話みたいな話ばっかり聞いていた。
でも、やっぱり俺は信じてなくて、「ボケた老人の妄想だろ」と馬鹿にしてた。
そんである日、いつもの様に俺は友人と神社で遊んでたのよ。
何を奉ってるかも分からない山の中の神社。
そこでエアガン撃ったり、チャンバラしたりしてた。
すると突然笑い声が聞こえたんだ。
「なんだ?」と思ってみたら、Tシャツの男の子が居た。
見慣れない奴だったけど、閉鎖的な地域でもないし、一緒に遊びたそうにしてたから、仲間に入れたんだ。
そこから一人増えて、あとはいつも通り。
神社内にある川でウシガエルを捕まえたり、チャンバラしたりして、夕方のチャイムまで遊んだ。
そこでみんなで帰るんだけど、そのTシャツの男の子はついて来ない。
「どうしたん?」と聞くと、村と神社を繋ぐ道にある山に続く階段を指差して、「僕、こっちやけん」なんて言って登っていった。
でも、そこは大人たちが口を揃えて『入ってはいけない』って言う、一種のタブー的な場所なんだよ。
まあ、ただ猪狩りの人に撃たれるからなんだけど。
とにかく、そいつを止めようと続いて階段を登った。
だけど、すでにそいつの姿は無くて、結構深い山だから諦めて帰った。
次の日になればまた神社に来るかと思って、みんなで神社に集まってみたけど、そいつはそれ以来、姿を見せなかった。
行方不明者が出たって話もなくて、結局あのTシャツの男の子の正体は分からずじまいだ。
今では、あれは山の神様だったんじゃないか、と友人たちの話のタネにあがるだけになってしまった。