友人の家は先祖代々の網元の家。
どんな不漁の時でも、その家だけは常に不自然なほど豊漁なんだが、その代わり、代々当主は必ず海で死ぬって言い伝えがあったらしい。
事実、そいつの父親も祖父も大叔父も曽祖父も高祖父も、分かってる限り過去十代以上全員海難死してる。
言い伝えを恐れて陸軍を志願した当時の当主(前述の大叔父)は、乗ってた輸送船が潜水艦にやられて死んだし、その弟のそいつの祖父は漁船で死んだ。
さすがに不気味すぎで、そいつの親父の代で漁師は廃業。
親子共に海水浴や海釣りにも絶対行かない、海辺に決して近づかなかった。(修学旅行の沖縄でも、そいつは絶対海に近寄らなかった)
そこまで気をつけてればいくらなんでも大丈夫かと思った、そんな矢先に東日本大震災発生。
奴の家は半壊で済んだが、よりにもよって当日、免許取りたての奴の運転練習のために、父子揃って海近くにお出かけ中だったそうだ。
未だに二人とも見つかってない。
そんな家系だけに諦めも早いのか、葬式は先日済んだ。
奴のいとこは数人いるが、全員本家を継ぐのを拒否してるし、本家もこの辺で終わりにしようと葬式で相談してた。
一体どんな因縁があるのか気になるが、ともかく奴で最後になるといいな・・・。