小さい頃、居間に「物事がゆっくりになる空間」とでも呼ぶべきものがあった。
ボールや小物を落としたり投げたりするとき、その空間を通過するようにすると通過する間だけゆっくりになる。
手や足を当てると、通過する間だけ水中みたいな抵抗を感じて遅くなる。
テーブルとかの上からそこを通過するように飛び降りたら、お腹から背中にかけて
ぞわぞわっと抵抗を感じて、落下が遅くなる。
触れないけど、色んな角度から試した結果、バスケットボールくらいのサイズで地上1メートルほどに浮いてた。
今思うと不思議なんだけど、当時はどこの家の居間にもあるものだと思ってて、たまに暇つぶしする遊び道具程度にしか思ってなかった。
俺の家に小さなブラックホールでもできたんだろうか。