うちの近くの児童公園は、裏手が排水路になっていて、公園との境は金アミで仕切られている。
排水路の先は下水道に続いているんだが、外から見ると子供にはちょっとした洞窟に見えた。
中はマンホールの真下が円筒形の空間になってて、下水路は子供が四つ這いになって進める幅。
子供の頃は、よく中に潜り込んで遊んでいた。
小学生の夏休み中、友達がみんな旅行に行っていたので、俺は一人で下水路の中に潜っていた。
マンホールの下に着いて、そこから上に出て行こうとハシゴを上っていると、俺の来たのと反対の下水路から、ボソボソ話す声が聞こえて来る。
大人の工事業者か何かだと思った俺は、見つかったら怒られると思いながら、マンホールのフタの近くでハシゴにつかまったまま息を殺した。
やがて、話し声は近付いてきて、俺のいるハシゴの真下まで来た。
見下ろす俺の真下に現れたのは、小さい人間だった。
一人二人じゃなく、十人以上が群がって話しながら歩いていた。
服装はよく分からないが、ミノムシみたいな格好をしていたと思う。
全員が、弁髪(べんぱつ)の長い髪の部分を切った様な髪型をしていて、頭部はしっかり確認出来た。
何かスゴイものが来たと思って凝視していたが、そいつらは俺に気付く事なく通り過ぎて行った。
誰かに言おとかとも思ったが、なんとなく今まで秘密にしていた。
アレは小人だったのだろうか?
公園は今もあるけど、下水に通じる穴は鉄柵で閉鎖されてしまった。