あの人・・・たぶん死んでたんだ

カテゴリー「不思議体験」

自分の後味悪い話。
もしかしたら叩かれるかもしれないようなこと。

自分は大学の頃からほぼ毎日N駅を利用している。
Nは自分の住んでいる府の中でも中心的な街の一つで、複数の私鉄や地下鉄、国鉄の路線が駅を持っている。
当然、人通りが多く、なかにはホームレスもちらほら見かける。

そのホームレスは、地下鉄N駅の周辺に住み着いていて、地下街をうろついているところも何度か見たことがあるけれど、たいがいは地下鉄N駅の前の通路の壁にもたれて座っているおっさんだった。

おっさんは、他のホームレスのように空き缶集めをしたりして日銭稼いでいる様子もなく、いつも片腕を「いーとまきまき」をするように回しながら意味不明なことを言っていた。

つい1ヶ月前のこと、会社の帰りにおっさんのいる地下通路を通っていたらおっさんの様子がおかしいことに気が付いた。
通路にもたれて座っていたんだけど、顔は俯いていて見えず、足は投げ出されたまま、腕もだらんとさがっていた。

直感で「死んでいるんじゃないか」と思った。

でも顔は見れないし、「生きてますか?」なんてさすがに聞けない。

結局、2・3回おっさんの前を行ったり来たりしただけで、警察や駅員さん(厳密には駅の改札外だから駅員さんの管轄外)を呼ぶこともなくそのまま私鉄に乗って帰ってしまった。
それから、やはり毎日その通路を通っているけど、おっさんはいない。

やっぱり自分が見たのは死体だったんだろう。
今の日本で死体を見つけたらどうすべきか分かっている。
でも結局見て見ぬふりして通り過ぎた。

正直言うと、おっさんが汚いってことや、いつも意味不明なことを言っていて怖かったってのもあるが、あれから通路を通るたびに後ろめたい気持ちになる。

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