ナベカブリが出没

カテゴリー「不思議体験」

知り合いの話。

彼の祖父が猟師をしていた頃、奇妙な動物が出ていたのだそうだ。

繁みの中で動く影を首尾よく撃ってみると、カンと硬い音がする。
確かに当たった筈なのに、ザッと走り去る音が聞こえ、繁みには何も残っていない。
ただ潰れた鉛の玉が、地面にポツリと落ちているだけ。

そういうことが何度かあった後、遂にその生き物の姿を拝むことに成功した。

薄い笹藪から出て来た物、そいつはヨタヨタと二本足で立つ、鼬のような動物だった。

異様なのはその頭部だった。
黒い鉄鍋を被っていたのだ。

そいつはしばらく明後日の方を見つめるように立ち竦んでから、パッと四つ足になり山奥へ奔り消えた。
鍋を被ったままで。

「先達の猟師に聞いたところ、どうやらアレはナベカブリというものらしい。“鍋頭”と書いてそう読むんだと。名前と姿が伝えられてるってことは、昔から出没してたってことなんだろうな」

祖父さんはそう言ってから「化かされたような気分だったよ」とボヤいていた。

ブログランキング参加中!

鵺速では、以下のブログランキングに参加しています。

当サイトを気に入って頂けたり、体験談を読んでビビった時にポチってもらえるとサイト更新の励みになります!