携帯のメモリから消せない・・・

カテゴリー「不思議体験」

職場の同僚、Eの話しである。
Eは当時、卒業間近な大学4年生だった。
寮で一人暮らしをしていたEは、卒業と同時に地元の群馬に帰る為、その日は部屋の片付けをしていたのだという。

半ば荷物の整理も済み、寝る準備を始めたEの耳に携帯の着信音が入った。
相手は、しばらく連絡をとっていなかった地元の親友Aだった。

「よぉ、久しぶりじゃん」

他愛も無い挨拶を交わし、二人は話し込んだ。
近況、学校の事、気になる女の事、Eは色々と話したが、どうもAの反応が薄い。
相槌を打つだけで話に食いつく様子がまるでないのだ。

Eがどうしたのかたずねると、Aはあいまいな返事をした後に「たまには遊ぼうよ」と切り出した。
どこか解せない返事だったが、どうせ地元に帰ればAとまた遊ぶようになるだろう。

「そりゃもちろん、いつ遊ぶ?」

Eの返事に気を良くしたのか、Aは嬉しそうに「じゃあ今から行く」とだけ言い残して、通話は切れた。

Eは首を傾げた。
今から行くと言っても、Aは群馬、Eは神奈川で、時間も既に日付が変わって深夜だ。
どういうつもりなのか考えていると、Eの部屋のインターホンが鳴った。
同時に声が聞えた。

「おーい、遊びに来たぞー」

先ほど電話で聞いたのと同じAの声だった。(なんだ、Aのやつこっちに遊びに来てたのか)
入口に向かい、ドアを開けるとそこには満面の笑みのAが・・・いなかった。
人一人いなかった。

どこかに隠れているのかと思い、部屋の周りを見て回ったがやはり誰もいない。
不安に思い、Aの携帯に電話をしてみるが・・・でない。
途端に、言いようのない寒気を覚えたEは、姿の無いAを放って、部屋に戻って寝たのだという。

「また遊びに来るよ」

明け方、ハッキリと声が聞えたという。
驚いて飛び起きると、部屋のドアがわずかに開いているのが見えた。
その声は確かにAの声だったと、Eは言っていた。
その日の昼に、親からEに電話が掛かって来た。
Aが亡くなったという。

昨日の夕方頃、乗用車同士の正面衝突でAは意識不明の重態となり、日が替わる頃に息を引き取ったのだという。
・・・ではEと電話で話していたAは?
・・・昨夜、この部屋を訪れたAは?
・・・今朝方聞えた声は?

Eは何となく、携帯のメモリからAの番号が消せないと言って見せてくれた。
「また遊びに来るよ」と言い残してこの部屋を去ったA。
今のところまだ、Aが再び遊びに来る気配は無いという。

ブログランキング参加中!

鵺速では、以下のブログランキングに参加しています。

当サイトを気に入って頂けたり、体験談を読んでビビった時にポチってもらえるとサイト更新の励みになります!