友人の部屋で見た光景に背筋が凍った

カテゴリー「不思議体験」

中学校の時、寺の坊主の息子が同級生にいた。

昔から割と仲がよかったんだが、中学入学ごろを境にどんなに親しい友人でも何故か自分の部屋にだけは入れてくれなくなった。

ドがつくほどの田舎なので留守でも鍵をかけない家が多く、そいつの家も例にもれず鍵をかけてないことは知っていた。

ある日外で遊ぶ約束をしていたにも関わらず、その坊主の息子が生徒会で遅くなるというので俺ともう一人の友人で勝手にそいつの部屋で待っとこうぜ、という話になり、2年か3年かぶりにそいつの部屋に行った。

数年ぶりに見る部屋はどんなかな、変な本でも隠してあんだろ、なんてと思って戸を開けると部屋の中央、天井から先端を輪にしたロープが一本垂れさがっていた。

昔からある学習机、質素なベッド、本棚と見慣れたものばかりの中、白いロープは完全に場違いで、異様な雰囲気をかもしだしていた。

「あいつ自殺でも考えているんじゃないか」って考えが浮かんだんだが、よく見ると天井には押しピン2,3個でロープを固定してあるだけ。
とてもじゃないが、体重を支えるようなものでもない。
その場にいた友人とは「何だコレw」なんて出来る限り軽い感じで茶化そうとしたんだが、完全に引いてしまって部屋で待つどころの気分じゃなかった。
結局その日は逃げるように帰った。

翌日部屋に行った友人と連れ立って、いつもどおり平気な顔で登校してきた寺の息子に勝手に部屋に入ったこと、用途不明のロープを見つけたことを言った。

一体あれは何なんだと問い詰めたところ、イタズラがばれたような顔をしてこんなようなことを言った。

あれは自殺するためのものじゃなく、飾りのつもり、気分でつけた。
夜中眠れない時に電気を消して、ぼーっとロープを見ているとひとりでにゆらゆら動いてみえたり、ときおり白いもやのような人影がまるで自殺した人みたいにロープに下がっているのが見える。
人の形をしたもの、首だけ浮いてるようなもの、どうみても人じゃないようなもの、いろいろ見れて楽しい怖くはない。

いつか本当にはっきり幽霊を見れるんじゃないかと楽しみにしている。
親にも言ってないので、秘密にしてほしい。

・・・普段結構明るい性格のそいつからこんな話が出るとは思っていなかったので、どうリアクションしていいか分からず、ただひたすらそいつとそいつの行動、
本人が見たと言っている話が怖くて、それ以来疎遠になって遊ぶことはなくなった。

この話は他の誰にもしてないんだが、中学を卒業するころには何故かそいつの周りには友達がいなくなってた。
半ば予感してたことではあるんだけど、高校2年でそいつは自宅の裏庭で首をくくって自殺した。

何かに取り憑かれたのか、そもそもあいつが狂ってたのかいまだに分からない、誰にも話してない本当の話。

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