よく覚えてないけど、その日は学年で体育館でお泊まりをする日だった。
布団だか寝袋だかを持ち寄る感じだったんだ。
みんな興奮してなかなか寝付かないから教師が注意しに来たり、体育館から見える窓の外を教師がずっと歩き回っていたのが館内から見えていたのを覚えてる。
私はテレビも見ないし早寝で、お泊まり会なんかでも真っ先に寝るタイプだった。
その日もみんなが枕を投げたり布団の上を走り回ってる中、眠気に勝てずに先に眠りについた。
何時になったのかわからなかったけど、ふと深夜目を覚ました。
普段朝になるまで一切起きないんだけど、本当にふと目が覚めた。
布団から体を起こしはしなかったけど、嫌に静かなのはわかった。
あんなにはしゃいでいた同級生は誰一人として起きていないし、寝息さえ聞こえない。
窓の外を見るも、外を見回りしていた先生も見えない。
しんと静まり返っていて、みんな生きてるのかわからないくらい静かだった。
その時点で少し怖くて、となりに寝ている友達を起こそうと布団からつんつんしてみたけど反応もしない。
一切起きてくれなかった。
すると、足音が聞こえた。
ぺた、ぺた、ぺた・・・・
音の高さからして、ギャラリーのほうからだった。
わたしは舞台が右側になるように横になっていて、足音はわたしの頭側(上手から上がったところ)からした。
なんとなく起きているのがばれてはいけない気がして、身を潜めていた。
ぺた、ぺたぺたぺた・・・
足音はわたしの左側(舞台の正面側)を少し早足で歩く。
目を開けていることすらばれないように、そのときには強く目を閉じていた。
ぺたぺたぺたぺたぺたぺた。
確実に早くなった足取りで、わたしの足元側を走っていく。
足元側なら薄目でも確認できる場所なので、うっすら目を開けるも、・・・誰もいない。
その足音は、ぺたぺたぺたぺた、と舞台の下手側に消えていった。
途端、ダン!ダンダンダン!!ダン!!!!
階段を物凄い足音で降りる音が聞こえた。
バレた!!!!
何故かその足音の異常さにわたしはそう思った。
階段を降りきったと思うと、
しん・・・
またもとの静けさに戻った。
その足音が静けさの中、起きているわたしを探しにくるのではないか、そう思ったら恐ろしくて、となりの友達を必死につついた。
つねった。
叩いたかもしれない。
幸い友達は目を覚まして、トイレに行きたくて仕方がなかったといってトイレについてきてもらった。
トイレから出ると、体育館は心地よくざわついていた。
ほとんどの人が寝ていたけど、起きてる人もいて雑談が聞こえる。
特に声をひそめるでもなく聞こえる笑い声、館内を見守っている先生。
外にも先生が見回りしているのが見えた。
あの、誰もが死んだように静まり返った時間はなんだったんだろう。
体験したらものすごく怖かったんだけど、文章にしたらそれほどでもないとおもってほんのりに。