寮に出没した背の低い坊主

カテゴリー「不思議体験」

高校時代の話だが。

中学時代に色々あって不登校になった俺は、地方の寮がある高校にいかされた。
そしてその寮にも当たり前のように七不思議というのがあったりオカルト話もあった。
その中の一つに「吉田さん」というのがあった。

噂では昔寮でイジメにあい首をつった吉田さんの霊、ということだった。
寮の使われていない部屋に12人でいき、電気を消して一人ずつ数を数えていく。

「イチ」「ニィ」「サン」・・・と、するといないはずの13人目の「吉田さん」が「ジュウサン」と答えてくれる、というものだった。

実際には部屋が満室だったので誰も吉田さんを呼び出そうなんて思わなかったんだが、5月の連休に自宅に戻った後、そのまま学校を退学した生徒が出たり色々あって1学期終了前に辞めていく生徒もおり、ある部屋が完全に「空き」になった。(ちなみに2人部屋)

夏休みに入ったこともあり、オカルト的な話もよく出ていたので、誰の発案だったのか覚えてないが、吉田さんを呼び出そう、という話になり夜こっそり声をかけた12人で集まって空き部屋に入り込んだ。

廊下の光りが入ってこないように、扉についてる窓にはガムテープをはりつけた。
そして、電気を消して、一人ずつ「イチ」「ニィ」・・・と声をかけていった。

ちなみに俺は11番目で12番は同室の中村(仮)だった。
暗闇のなか、いやでも期待が高まっていた。
順番がきて俺が「ジュウイチ」と声をかけると隣の中村が「ジュウニ」と数を読み・・・。

その後、沈黙が流れたあと、ふっと緊張感が崩れ「なんだよ吉田さんこねーじゃん」と誰かが文句を言い出した。

「あーあ」「あちぃ~よ」「吉田さーんこないのー?」と一斉に声が沸きあがった時、それにかぶさるように「ジュウサン」と誰かの声がした。

その瞬間、誰かが「うわあああ」と叫んで走り出した気配がし、扉が開いて廊下の明かりが室内を照らし、狭い部屋はパニック状態。

俺も思わず誰かを押しのけて廊下に飛び出した。

その後冷静になってみんな顔を確認したが全員で12人。

誰も欠けてないし誰も増えていない。

「なんだよ」「誰の冗談だよ」「趣味悪ぃよ」と口々に文句を言うなか、俺の隣にいた同室の中村(仮)だけが黙り込んでいた。

気になったので後からそいつに聞いてみたら「俺がジュウニって言った瞬間、誰もいないはずの俺の左側で誰かが動く気配がしたんだよ」

「でもさ、俺の左側って壁じゃん?俺一番奥にいたし、誰も動くわけないじゃん?でさ、ビビってたら、その壁のところにいる誰かが「ジュウサン」って言ったんだよ・・。

「誰にも言うなよ。頭おかしいって思われるから、誰にも言うなよ」と真っ青な顔で言ってた。

その夜、俺も中村も怖くて一睡もできず、こっそり二人で音楽をかけながらグダグダつまらない話をして恐怖と戦った。

申し訳ないが、その後、吉田さんが何かしたとかそういう話は一切ない。
ただ、翌日、食堂のおばちゃんが「見たことが無い背の低い坊主の子がいる」「誰か友達を連れ込んだんじゃないか」と問題になって、寮長が各部屋を確認してまわる、ということがあった。

そして、この「背の低い坊主の子」は教師も階段で目撃して問題になったのだが、寮生は誰も目撃してない。

教師も見間違いだろうということで結着がついた。

特に霊的な話も聞かず、中村が呪われたということもなく、3年の寮生活を終えた。
その背の低い坊主の子が吉田さんなのか、それとも別件なのか。

あの時「ジュウサン」と答えたのが誰なのか今も謎。

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