小学生の頃通学路に通称「大階段」というそのまんまのネーミングの階段があった。
大階段を登りきるあたりの頭上に草木が茂り蔦で覆われた小屋が見えていて(イメージとしては崖っぷちギリギリのような感じで飛び出ていた)ある日友達4人と行ってみようという話になった。
遠回りをして気付いたが、墓地の横に木々に覆われた小屋はあった。
窓は全て割れていて、壁は黒く汚れていた。
友達がいたのもあって、恐怖心はそれほど無かった。
さらに近づき、中を覗き込むと部屋の中はまさに廃墟。壁にはヒビが入っていたし、服や家具など、物が散乱していた。
部屋のド真ん中に旧学校にあるようなオルガンが置いてあり、周りには何故か綿が散らばっていた。
部屋中煤だらけで汚いのに、オルガンと綿だけは真新しかった。
皆で笑いながら怖いねーとか話していた時、覗き込んでいた部屋の右側からコツコツと音がした。
ドアは外れていたけど、奥にも部屋があったらしい。
誰ですかー?と聞く子もいた(おい・・・)が、返事はなし。
コツコツという靴音?はだんだん近付いてくるように思えた。
もうすぐ姿が見えてしまうのではと思うくらいコツコツが近付いてきた時、何故か皆が叫び出し、その勢いで走って逃げることが出来た。
農家のオジサンが見えほっとしたところで小屋からプォーーーーーとオルガンが鳴る音がした。
振り返るとオルガンは閉じたままだった。
後から親に聞いたら放火事件があった小屋だった。
死人が出たかどうかは教えてはくれなかった。
今思うと不審者かヤンキーとかがふざけて潜んでたのかもしれないけど、黙って近付いてきたのが怖かった。