生まれ変わり

カテゴリー「不思議体験」

高校のとき、全く面識のない女子から、「あなたは私の前世に関わりがある人、仲良くしましょう」と言い寄られた。

見た目は普通の女子だったので、その不釣り合いな言動にドン引きした。
適当に話を合わせて、さよならしようとしたら、「適当に話をしないで」と怒られた。
そしてかなり真剣に俺の前世と自分の前世との間柄について話して来た。

要約すると俺は大正のころ裕福な金持ちの跡取りだった。
彼女はその金持ちと懇意の付き合いがあった名家の娘だった。
婚約していたがある日大きな地震があって2家とも壊滅打撃を受け死んだ。
その子は物心ついたら今の自分で、境遇に面食らいながらも成長したら自分と同じ様に転生しているかもしれない婚約者を捜そうと考えていた。
そしたら同じ学校に間違いなく記憶の中にある婚約者と同じ容貌をした俺がいたという。

俺はあっけに取られて、言葉も出なかった・・・。

女子は「長い長い時間だった、しかし神様はいるものでまたこうして出会えた、どうか今生でこそ添い遂げて欲しい」と涙ながらに懇願された。

俺にはそんな記憶がないので、訳わからないどうしたら良いのかわからない・・・と言ったら、その子は大丈夫、私が知っている限りの事を教えるからと言った。

こんな突拍子でもない事を他人の俺に言うくらいだから、よほど真剣なんだろうかとほだされた。
付き合いしてみようと言うことになり、しばらく様子見してみる事にした。

彼女は付き合いを続けていくうち、切々と俺の前世とやらの話をしてくれた。
前世の俺は人付合いが良く、誰にも平等で困っている人がいたらすぐに助けるような人だったそうだ。

死ぬ事になった地震の時も自分も大変な時なのにあらゆる人に対して施しをしたという。
結局彼女が地震で脆くなり崩れてきた石壁に潰されたのを助けようとして、更に崩れてきた壁に一緒につぶされ死んだらしい。
そこまで聞かされても俺には全く心当たりなし、凄い話だけど本当なのか疑問しかでなかった。

裕福な家柄なら何かの記録に残っているのか聞いたら、自分も調べてみたけど震災時のごたごたで消えたのか見つからないという。
まゆつばではあるが、俺の中で実に興味深い話に思えるようになっていた。
そこで半信半疑ではあったが霊能関係の人にこの事が本当かどうか聞いてみる事にした。

すると「彼女の言ってることは間違いはない。彼女に過去生の記憶が残ったのは偶然。確かに彼女の言う婚約者の生まれ変わりだが、記憶の代わりに魂の持つ容貌だけ転生したので、過去生の記憶が甦る事は無い。」と言われた。

彼女はがっかりはしたものの、記憶にある婚約者の姿に違いはなく、これも何かの運命であり縁だと納得したようだった。
俺はと言えば、記憶こそ無いもののこうした出会いもまたアリかなと思うようになっていた。

その後、一緒に大学を出て結婚した。
今は2人の子持ちで幸せにやっている。
以上が俺の、高校時代の不思議体験だった。

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