もう20年以上前になります。
俺が高校生の頃の話。
自転車で1時間ほど離れた里山に写真撮影に出かけたんです。
当時一眼レフを買ってもらったばかりで、おにぎりを二つ、おかずにソーセージを持って出かけた。
山に至る道の両側には畑が広がってまして、作業してるじいちゃんばあちゃんがちらほら。
あれ?
前方に犬がいるんです。
鎖を引きずったままトテトテ歩いてる。
口笛を吹くと止まってこっちを見てる。
日本犬の雑種かな?
数年前に死んだうちの犬に雰囲気が似てる。
俺:「おまえ、鎖引きずったままは危ないだろ。」
おにぎり半分食べさせながら鎖を取ってやりました。
そしたら付いて来る。
俺:「もう何もやらん!(笑)」
ヘッヘッ言いながら走って付いて来る・・・。
山の麓のキャンプ場に到着、犬と一緒に・・・。
俺:「一緒に登るか?ん?」
山といっても大した高さじゃないんです。
往復2時間かかるかかからないかの山。
俺は植物の写真を撮りながら登り始めました。
・・・夏でしたね。
蝉が大合唱してたのを今でも覚えてます。
数組のハイキング客とすれ違いながら登って行きます。
客:「お、犬と一緒かー」
おじさんに珍しそうに声をかけられました。
しばらくして、7割ほど登った所でした。。
何度か登った事のある山だったんですが、妙なことに気づきました。
俺:「・・・こんなとこに脇道あったっけ??」
下草の生えた砂利道が左のほうに延びてる。
カーブしながら奥の方は・・・見えない。
ちょっと覗いて見よう・・・。
歩いて行くと柱が2本。
間には錆びた鎖が渡されて、奥に数棟のバンガロー?が見えた。
犬:「ワンワンッ!ウウウッ!!ワンッ!!」
びっくりして後ろを見ると、付いて来てた犬が凄い形相で吠えてたんです。
俺にじゃなく、道の奥に向かって。
背中が冷たくなって、はっ!!と前を見ました。
蝉の声が聞こえなくなってました。
冷たい風が奥のほうから吹いてきました。
俺:「あ、ここは入っちゃいけない場所なんだな・・・」
急いで引き返して、もとの山道へ。
蝉の大合唱を聞いてホッとし、ふとあたりを見ると、さっきまでいたはずの犬はどこかに消えてました・・・。
山を降りながら探したんですけどね。
どこに行ったのか、見つかりませんでしたよ。