末期の患者の暗黙のルール

カテゴリー「不思議体験」

不思議系でいくつかご紹介。

【難病患者を収容する施設】
ある所に難病患者を収容する施設があった。

そこにいる患者の病気はどれも不治の病で、体を動かすこともできず、死ぬまでずっと寝たきりのまま。
その病院にまた新たな男が入院してきた。
何もない殺風景な病室にはただ一つの窓しかなく、それが唯一の外との繋がりだった。

特等席の窓際にいられるのは末期の患者だけで、その患者が死ぬと次に病が重い患者へとベッドが入れ替わるのが暗黙のルールだった。
各ベッドには仕切りがあって、窓際の患者が伝える外の話を聞くのが患者達の楽しみだった。
その男もどうせ治らないなら早く窓際に行きたいと思っていた。

ある日、その男が窓から2番目の位置にまで移動した頃、窓際の男がいつもの様に外の様子を伝えてきた。

「風船を持った女の子が楽しそうに走ってる、花もたくさん咲き乱れてきれいだなぁ」

何気ない会話だが2番目にいた男はどうしても外の様子が見たくなり、窓際の男に1回だけベッドの位置を譲ってくれないかと嘆願した。

しかし、窓際の男は今は俺の位置だと頑なに窓際を譲らない。
2番目にいた男はその事に腹を立て、心のなかでそいつが”早く死ねばいい”のにと祈った。

その翌日、窓際の男が死んだ。
2番目の男はやっと窓際に行けると、心底喜んだ。
そして、意気揚々と窓際に移動し窓を覗くとそこには灰色の壁が一面に広がっていた・・・。

【恐怖の音】
死ぬ程怖い話は聞いたことないけど、死ぬ程美しい音なら聞いたことある。

キラキラピキピキーってかキュリキュリッてか、まあとにかく聞いたこともないような綺麗な音だった。

自分の手も見えないような闇の中で、銀色の線香花火が一斉に点火されたようなイメージ。
宇宙の果てから届いたんじゃないか?と思うような不思議な響き。

バイク事故で壁めがけてロケットのように飛んだ俺の、顔と胸がくっつくんじゃないかってほど首がひん曲がった時に聞いた音。
首から背中に入った骨が伸びた音だと思うんだけど、キラキラピキー!ってか口じゃ言い表せないような美しい音だった。

ブログランキング参加中!

鵺速では、以下のブログランキングに参加しています。

当サイトを気に入って頂けたり、体験談を読んでビビった時にポチってもらえるとサイト更新の励みになります!