僕の会社で、『企画内容のビデオによる説明』というのを会議で行う事になり、担当のA君が自宅のビデオカメラを持ち込み、撮影を開始しました。
事務所内、僕とBさん。
営業のCさん、そして撮影者のA君がいました。
つまり、事務所内は4人。
カメラを回しているのはA君です。
僕がフリップを持ち、Bさんが企画の説明を行いました。
途中で、営業のCさんが企画案に対して、自分の営業活動をどう行うか言葉を挟むというものでした。
何度か、ビデオを切り、角度を変えて撮影しました。
10分程撮り終えて、もう一度、念のために二回目を撮影する事に。
こうして、全30分程のビデオ撮影が終わり、我々は二回撮影したうち、より良く撮影されている方を会議提出するため、モニターに繋げて確認しました。
一回目と二回目の間、少し間があり、一瞬(2~3秒間)我々4人の姿が写りました。
そこには、ビデオカメラを持っているA君も写っています。
しかも、ありえないことにその一瞬の画像は、我々の頭上からのアングルで、我々の二言三言の会話まで収録されていたのです。
その映像を一目見ただけで、僕達は「ええええ~!」と驚愕の声を張り上げました。
どう考えても、カメラを持ったA君が頭上からカメラを持った自分を含めた4人を撮影する事など不可能だからです。
全員、仕事も忘れて考え込みました。
幽霊の仕業かと、そんな言葉も飛び交いましたが、別に異様な雰囲気があったという事も無く、背筋が寒くなるような感覚も無く、しかも、あまりにも当たり前に撮影されていて、ちっとも怖いと言う感覚ではなかったからです。
もう一度、その2~3秒を見てみることにしました。
不思議な事に、画面左下に位置するはずの椅子や机がありません。
さらに、これが一番変なのですが営業のCさんの顔が左目だけを残しのっぺらぼうみたいになっていたのです。
勿論、僅かな時間で、しかも頭上からの角度ですから、Cさんの顔の異変に関しては、光の加減か何かかもしれません。
その後、我々は、一つの結論に達しました。
頭上に鏡か、鏡になるような「何か」があり、A君の手にしていたビデオカメラが録画状態になっていて、我々の頭上にカメラを向けてしまったのではないかという事です。
そして、再度それを確認する事にしました。
頭上(天井)には鏡はおろか、それに相当するようなものはなく画面に映ったA君のカメラは横を向いています。
ここで、はじめて全員ゾ~っときました。
「やば」を連発するCさん、なぜか嬉しそうでニヤニヤしているBさん。
僕とA君は、言葉を失い、ひたすら「????」に陥りました。
取引先の人で、我々と何度か飲みに行くというDさんに見せると「うそ、マジ!?」と一言で信じてもらえません。
夜になり、そのDさんから営業のCさんへ連絡がありました。
Dさん曰く、誰もその場にいなかったとなると、それは幽霊とかではなく映画「リング」みたいな念写じゃないかという事です。
その場にいた4人のうちの誰かが、無意識か意識的にか、たまたまそのビデオカメラに全員の姿を念写したか、あるいは、その場にいない誰かなのかの仕業なのか・・・。
結局、答えはわかりません。
会議用に、その問題の部分と二回目撮影した部分を消し無事、会議で使用しました。
しかし、ちょっと気がかりな事があります。
A君は、一回目の撮影の後、一度テープを取り出しているのです。
そして二回目を撮影しようという事になり再度ビデオカメラに挿入しました。
ひょっとしたら、この間にテープに何らかの作用が加わったのかもしれません。