犬鳴峠

カテゴリー「怪奇スポット」

今から話すのは確か5年程前の、有名な心霊スポット犬鳴峠での話。

従兄弟と一緒に4人で旧犬鳴トンネルへドライブに行った。
時間帯は真夜中1時をまわった位だったかと・・・。
私達が行った時は、山道に入る前の金網(門?)は開いていて普通に入る事ができた。

歩いて進むと旧犬鳴トンネルが見えて来る。
入り口には1m×1m位のコンクリートが何個も積んであり入れないようにしているが、上に入れる位の隙間が空いているからそこから入る。

内部はゴミが沢山散乱・・・。
中に入った奴達が残して行ったものだと思われる。
壁には落書きがあり、それらをライトで照らすしたりすると怖い雰囲気を際立たせる。
反対側の入り口は何かで塞いであります。(5年も前ですから記憶が曖昧で;)
トンネルの中で、不謹慎ですが記念に・・・
と壁を背にして3人で写りました。(1人はカメラ)

中は夏でしたが肌寒く、皆でそろそろ出ようか・・・となったとき、1人が「なんか言ったか?」と言いだした。
しかし、その時は誰も言葉を発していなかった。

私は鳥肌立てながら「何ふざけてんの?!」とちょっとマジに怒ったんだが・・・それ所ではなくなった。

反対側(この時は入って来た入り口の手前でした)の方から謎の騒音が段々と近付いて来て、私達の手前でピタッと止まった。

何かが近付いて来た気配はあったのに懐中電灯で照らしても何も居ない。
私達がほっと息を吐いた途端・・・「キィィィィィィィン」とデカイ音で耳鳴りがしました。

「何なにナニ!?」

私達はパニクりながらトンネルを全速力でダッシュ!
車まで止まる事も話す事もなく走り、乗り込んだ。

道路にとどまる気もなくエンジンをすぐかけ、近くにあるコンビニまで非難。
店の前に車を停めて皆で落ち着きを取り戻した。
その日は皆帰る気にもなれず(一人が怖い為)、一番此処から近い奴の家に泊まり朝を向かえた。

友人宅に帰りついたその日は、何も考えれず皆で川の字になって寝た。

数日後、表情をこわばらせた友人から見せられたのはトンネルの中で撮った写真。
3人で壁を背にして撮った写真にはなぜか・・・腕が一本多かった。

そして、これは犬鳴関係で体験したもうひとつの話。

私がまだ小学生の時、犬鳴ダム(山の中にある池?)によくブラックバスを釣りに行ってたんだ。
そこの魚は異様にデカイから釣りがいがあって楽しい。
普通のデカイ奴よりもっとデカイ。
朝から夕方まで親と釣りをして、日が落ちると寒くなったので止めにした。

帰るために荷をまとめる間に辺りは真っ暗になった。
車のライトが無かったら何も見えない・・・。
小さかった私は「怖いから早く帰ろう」と親を急かし車に乗り込んだ。

【座席】↓
前に『母と父(←運転)』
後ろに『私と兄』

真っ暗な道路をライトで照らしながら進む。
ちょっと前に狸を跳ねてしまってからは、夜の田舎道は慎重に走る。
特に誰も喋ることもなかったのでシーンとしていた。

暇になる私は「ラジオをかけて」と母に言う。
すぐに流れだすラジオ。
番組の内容はニュースだった。

『───昨日未明、犬鳴ダムにて女性の水氏体があがりました。(ニュアンス的にこんな感じのが、女性の声で流れた)』

・・・・・・。

一気に周りの温度が下がったような気がする。
けれど家族はよくある事だと言ってあまり気にもとめなかったようだ。
私は即座に後部座席から身を乗り出して、腕を伸ばしラジオを止めた。

ドクドクドク・・・。

心臓が痛いくらいに鼓動する。
動いた訳じゃないのに息が上がる、汗が吹き出る。

『どうしようどうしようどうしようどうしよう』

誰に何を言われたわけじゃないのになぜか頭の中で「どうしよう」と言う言葉が駆け巡る。

『いやだいやだいやだ』

言い表せない恐怖を感じる。

『怖い・・・』

私は震えながら母の隣(前)に移動した。
しがみつきながら眼をぎゅっとつむる。
今にも窓の外の暗闇から何かが現れるんじゃないか・・・という根拠のない只の妄想。

父:「・・・ん?」

いきなり父が発した言葉にビクッと震える。

母:「どうかした?」

母が訪ねた。

父:「んー・・・」

そう言いながら道路の脇に車を停め、しきりに首をひねりながら外を見ている。
場所はまだ山の中。
店の灯りなんてないし真っ暗。
私は「ここに居たくない!」と、半泣きになりながら父に抗議する。

私:「お父さん?!何やってるの早く帰ろうよっ」

しかし父はそれを「ちょっと待って」と聞き入れてくれず、ドアを開けて外に出て行った。

母兄私は窓の外に居る父を見ていた。
父は、車を停めている方とは逆の方を見ていた。
1~2分位たって戻って来た父は「おかしいな」と呟いた。

私:「どうしたの?」

父はシートベルトを絞めながらまた、窓の外を見る。

父:「んー・・・確かに見えたんだけどなぁ」

兄はわからないと言う顔をしながら「は?何が」と言った。

父:「確かに居たんだよ男の子。倒れた自転車の隣に屈んでたんだ。てっきり自転車乗っててこけたかな?とおもったんだけど・・・見間違いかな?」

父は特に何も思わず言っていたが、それを聞いた母と兄は(私も)顔を青くしながら「早く車をだして!!」そう叫んだ。

やっとコンビニが見えて来た。
私は安心して「ふぅ」と息を吐いた。

けどその時・・・「バンッ!!!!!!!!」

後部座席の窓に何かが当たる。
反対側にすわってる兄は「うわぁっっ」と悲鳴を上げた。
私は「ひっ」と声にならない音をもらした。

やっとコンビニに到着・・・。

人(店員)の声と明るい照明に安心した。
私はアイスを買ってもらい落ち着きを取り戻した。

私:「さっきぶつかったのなんだったのかな・・・?」

店の外でアイスを食べながら父に聞いた。

父は「山鳩か何かが窓にぶつかったかな。・・・あ!ヒビとか入ってないか?!」そう言いながら車に駆けてく。

私も走ってついて行く。

そこで見たものに言葉を失った。
目を見開いた。

窓についていたのは真っ赤な人の手形・・・。

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