もう23年も前の話です。
当時私は札幌市の地下鉄南北線「霊園前駅」近くに住んでいました。
現在は「南平岸」という駅名に変更になっていますが、名前の通り大きな霊園があり、私の住んでいたアパートはその霊園のとなりに建っていました。
アパートは三階建で、中央に非常階段などに使われる鉄製の階段があり、階段の左右に一部屋ずつ部屋がありました。
一階はシャッター付の駐車場、二階、三階が居住スペース、つまり四世帯しか入居できない小さなアパートでした。
私は三階に住んでいたのですが、階段を挟んだ向かい側は空き部屋になっていました。
ある夏の夜、午前二時近くだったと思います。
札幌にしては寝苦しい夜で、私は部屋のサッシを開けベランダに出て缶ビールを飲んでいました。
すると部屋の呼び鈴が突然鳴ったのです。
ベランダからは階段の踊り場が丸見えで、誰かが上がってくれば必ず判りますし、鉄の階段ですから足音も大きく聞こえるはずですが、それすら聞こえなかったのです。
恐る恐るドアののぞき窓から覗いてみると・・・誰かが指で押さえているかの様に真っ暗で何も見えません。
ビビって玄関から部屋に戻るとさっきまでビールを飲んでいたベランダに女の影の様なものがはっきり見えました。
転げるようにしてアパートから飛び出し友人の家で一晩過ごしました。
その後、何もなかったのですがホント怖かったです。